※「Art Archives Kit Lab」は講座運営の都合上、全2回開催となりました。
Art Archives Kit Lab (アート・アーカイブズ・キットラボ)
キットラボ01|2013.7.26 FRI
7月26日(金)第1回 Archives Kit Lab
※終了。レポートを公開いたしました。
ゲスト:齋藤歩氏(編集者、学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻博士後期課程)
テーマ:「アートプロジェクトを“記録に残す”とはどういうことか?」
概要:出来事の連続であるアートプロジェクトを記録に残すことは本当に可能なのでしょうか? もし可能ならば、だれが、なにを対象として、どのタイミングで、どんな方法を適用すれば、過不足なく記録に残したといえるのでしょうか? 今回は、その可能性と方法をみなさんと一緒に考え、これから「アーカイブキット」を開発していくためのヒントとして、いくつかの事例をアーカイブズ学(Archival Science)に基づいて解説してみたいと思います。取り上げる事例は、『「3.11とアーティスト:進行形の記録」記録集』、『「ファッションは更新できるのか?会議」報告書』、建築記録(Architectural Records)管理の方法論などです。
概要:P+ARCHIVEで進行中の「種は船」アーカイブプロジェクトの中間報告。どのような作業を取り組んできたのか、アーカイビングのプロセスを振り返りながら、現在進行のアートプロジェクトにおけるアーカイビング実践の課題について考えます。
ゲスト:斉藤研祐氏(株式会社イトーキ ファイリング研究室 室長)
1. ゲスト伊藤達矢氏と奥村圭二郎氏によるトーク
テーマ:試行錯誤のアーカイブ~「とびらプロジェクト」と「取手アートプロジェクト」の語り合い
概要:アートプロジェクトをアーカイブするための試行錯誤の軌跡について、東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」と「 取手アートプロジェクト」(TAP)の現場を担当する2人が率直に語り合います。
なぜ、アートプロジェクトのアーカイブは難しいのか、どこが難しいのか、そして、今取り組んでいるアーカイブの新しい方法とは何か。
1999年からはじまり今年で14年目を迎える取手アートプロジェクトと、発足してから1年半あまりの「とびらプロジェクト」、この2つのプロジェクトの比較からアートプロジェクトのアーカイブの展望を探ります。2. アーカイブキットのトライアル
構想段階であるキットのたたき台の抜き出しサンプルを来場者の方々にトライアルしてもらい、意見を伺います。20:30〜21:00
参加者による交流会
※ドリンクと簡単なスナックをご用意致します。(実費500円)
ゲスト:小田井真美氏、ARCUS PROJECT
1. ゲストの小田井真美とARCUSプロジェクトによるトーク
テーマ:ARCUS PROJECTのアーカイブについて
概要:茨城県守谷市を拠点に主にアーティスト・イン・レジデンス事業(以下、AIRプログラム)を行うアーカスプロジェクトは、茨城県、守谷市の二つの行政が実行委員会を組織し20年に渡り運営されている。事業開始当時は、国内初のビジュアルアーツ専門の、専用施設と運営組織を保有するAIR事業として出発した。事業の目的は、国際的に活躍する新進アーティストの活動支援とアーティストが一時的に滞在し、創作活動を行うことが地域の活性化に寄与することであり、同じ地域で粘り強く事業運営がなされてきた。そのため、AIR事業を運営する現場(=アーカススタジオ)のスタッフには、二つの課題がある。だれのためのAIRか、地域になにを残すのか、二種類の成果を導くため各世代のスタジオスタッフが試行錯誤のマネージメントが積み重ねられた。
さらに、2010年度からの二年間は、事業のさらなる継続を目指し、これまでの20年間の振り返りから、アーカスプロジェクトのなし得たものと課題についての調査を新たにアーカイブの作業として追加した。2011年3月11日の東日本大震災、事業開始から拠点となっていた「もりや学びの里」耐震工事のための一次移転を経てアーカスプロジェクトのアーカイブのいまを報告する。アーカスプロジェクトのアーカイブから、日本におけるAIR事業の変遷、つまり20年間の現代アートの有り様、さらに地域活性化を期待されるアートプロジェクトの試行錯誤の20年間が地域にどのような変化をもたらしたのかを見ることができるのかもしれない。2. アーカイブキットのトライアル
キットのトライアルとして、簡単なワークシートに取り組んで頂きます。参加者による交流会
※ドリンクと簡単なスナックをご用意致します。(実費500円)
カフェ03|2014.2.14 FRI 2014.3.6 THU
「横田茂ギャラリーにおけるこれまでのアーカイブ活動」
※終了。レポートを公開いたしました。
ゲスト:横田茂氏 (株式会社横田茂 代表取締役)
1. ゲスト 横田茂によるトーク
横田茂ギャラリーは1976年に東京日本橋にある雅陶堂ギャラリーにて始まり、その後1989年に竹芝にギャラリーを移し現在に至ります。この間、飯田善國、河口龍夫、村上友晴などの多く作家の作品を取り扱い、日本のみならずヨーロッパやアメリカの現代美術作品を扱ってきました。アーティストの資料をどのように整理・保存し、ギャラリー運営を続けてこられたのか、そのノウハウや作家の資料に対するお考えなどを伺います。2. 来場者からの質問タイム
齋藤歩(さいとうあゆむ)/1979年生まれ。編集者。学習院大学アーカイブズ学専攻博士後期課程。女子美術大学非常勤講師。メディア・デザイン研究所にて書籍やウェブサイト等の企画と編集に従事。同社での担当=乾久美子『そっと建築をおいてみると』、難波和彦『建築の四層構造』、西沢立衛『西沢立衛建築設計事務所スタディ集』、佐藤淳『佐藤淳構造設計事務所のアイテム』、「『10+1』DATABASE」、「AIR_J(アーティスト・イン・レジデンス・ジャパン)」、『「3.11とアーティスト──進行形の記録」記録集』ほか。研究テーマは建築記録(Architectural Records)。
斉藤研祐(さいとうけんすけ)/株式会社イトーキ ファイリング研究室 室長。昭和57年(株)イトーキ 入社。平成12年よりファイリングコンサルタント。平成17年ファイリング研究室 室長。電力、保険、製薬、精密機器などの民間企業及び地方自治体のファイリング・システム導入指導並びに維持メンテナンス指導を行なう。紙のファイリング分野に限らずファイルサーバーの整理やクラウドサービスを使った未利用ファイルの自動廃棄システムの開発も行う。
伊藤達矢(いとうたつや)/2009年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了(博士/美術教育)。茨城県取手市と市民、東京藝術大学の三者が共同で行っている「取手アートプロジェクト」や、「福島藝術計画×Art support Tohoku-tokyo」(2011-12)企画・運営など、数々のアートプロジェクトを手掛け、地域社会とアートを結びつける活動に従事する。現在、アートを介したオープンで実践的なコミュニティの形成を目指すプロジェクト「とびらプロジェクト」のプロジェクトマネージャー。現在進行形のアートプロジェクトのアーカイブ方法に関して実践の場から研究を行なう。
奥村圭二郎(おくむらけいじろう)/1982年東京生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。2004年より取手アートプロジェクト(TAP)に関わり、以降は事務局としてアーティスト・市民・行政・大学をつなぐ役割をしている。また関わり始めた当初よりNPO運営に興味を持ち、2011年のNPO法人化の立ち上げを担当した。TAPでは主に財務を担当し、資金調達や経営全般を統括している。
小田井真美(おだいまみ)/Move arts Japanディレクタ−、札幌国際芸術祭2014チーフプロジェクトマネージャー。1966年広島生まれ。武蔵野美術短期大学、女子美術大学卒業。3ART PROJECT(東京青山) を経て、2001~2002年にとかち国際現代アート展デメーテル事務局(帯広、北海道)に勤務する。2003年よりNPO法人S-AIR(札幌、北海道)に所属し、アーティスト・イン・レジデンスの運営、アートプログラムによる地域活性化事業、アーティスト・イン・スクールの企画、Sapporo2 Projectのプロデュースを担当。2010年より2年間茨城県アーカスプロジェクトのディレクターを務める。現在は、アーティストの移動ための支援活動 Move arts Japanディレクター、2014年に札幌市で開催される国際芸術祭運営に携わる。
ARCUS PROJECT(アーカスプロジェクト)/アーカスプロジェクトは、茨城県を主催に1994年※に開始しました。国際的に活動するアーティストが滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラムと、地域の方々が主体となって関われる場づくりやワークショップ等を行う地域プログラムを展開しています。アートを通して、国籍や世代を超えた様々な交流の機会を提供し、多様性のある魅力ある地域づくりを目指しています。(※プレ事業、パイロット事業を含む)
横田茂(よこたしげる)/株式会社横田茂 代表取締役。大学卒業後、瀬津雅陶堂、雅陶堂ギャラリーにて勤務。平成元年に、現代美術の画廊 横田茂ギャラリーを設立し現在に至る。また、輸入美術書籍の販売をはじめ、独自の美術書籍の出版を手がける東京パブリッシングハウスも経営。株式会社富士ゼロックスの版画コレクション蒐集開始時より、そのアドバイザーを務める。また、高島屋アーカイヴスのプロジェクトに立ち上げ当初から携わっている。