Ⅳ Conversation 会話 (pp.39〜49) サマリー
SEAでは、目的(たとえば、あるテーマについて共通の理解に到達したり、ある問題について注意喚起したり、特定の問題を議論したり、最終成果を協働で作り上げること)を達成するために、アーティストとコミュニティとの会話が重要になる。会話は、内容の特性と形式の特性の掛け合わせによって、形式張ったレクチャーから日常会話まで、いくつかの類型に分けられる。しかし、多くのSEAアーティストはこういった会話の構造を学ばずに、直感と試行錯誤に基づいて会話を行っていることか多い。プロジェクトの目的を達成するには、アーティストは会話の構造を理解し、また、参加者の問題に対するエンゲイジメントのレベルに応じて、会話を構築する必要がある。
SEAプロジェクトにおいては、アーティストは功利主義的になったり、父親的温情主義に流れたりするのではなく、コミュニティの利益や関心事に真摯に向き合い、会話の参加者がコンテンツを投入(インベスト)しやすい構造を用意し、アーティストと参加者の交換によって新しい洞察が生まれるような関係を築かなければならない。
<会話の構造>
ディスカッション
この章は、概念的な内容。会話の構造が図示されており、会話の主宰者はこれを意識すへきだが、SEAにおける具体的な事例があればより分かりやすい。
たとえば、会話が目指すゴールは“真実と洞察(truth and insight)”であるというが、どのようなことか。
SEAではアーティストがファシリテーターとなって会話をつくり出し、コミュニティの問題に取り組む場合が多いが、これはコミュニティ・デザイナーとどう違うのか。
アーティストとコミュニティの間の距離の取り方は? アーティスト・イン・レジデンスなどでは、どちらも不満を感じる場合がある。
この本ではSEAのプロセスに焦点を当てて議論しているが、アートとしての評価も重要だ。「なぜアートなのか」という説得力が、特に日本では必要ではないか。
SEAでは、ディスカーシブ・モデル、ディスカーシブ・スペースなど「ディスカーシブ(discursive)」という言葉が頻出する。dscursiveは、discourseから派生した言葉で、dialogicまたはconversational(対話型・対話型)と同じような意味で、制約のない(open-ended)会話から何らかの結論・合意に到達しようとするときに使われる。日本語でぴったりした訳がないので、考える必要がある。
(モデレーター 秋葉)