アルゼンチン,ブエノスアイレスで最も悪名高い旧『カセロス刑務所(Caseros Prison)』にて,アメリカ人若手アーティストのセイト・ウルシンによる公開作品『16トンズ』がつくられた.独裁政権期の1970年代この刑務所には,犯罪者と政治犯が1600を超える小部屋に収容されていた.あたかも鳥小屋のように狭い各房には,わずかな光を取る窓があり,服役者が外界と接触できる唯一の空間であった.しかし円いガラス窓からの光は弱く,そのため服役者の多くはビタミンDの欠乏により肌は緑がかり,髪が抜け堕ちてしまったという.
2001年,政府はカセロス刑務所の取り壊しについて検討を開始した.ウルシンは刑務所が壊される前に,ここで作品を制作することを願いでて,2006年にその許可を得た.作品は丸形のガラスブロックを計算にもとづいて砕き,ピクセルのように服役者の顔(48か所分)を描き出すというものだった.これにより,残ったガラス部分は太陽光を反射し,取り除かれた部分は室内の暗さにより光が吸収され,顔が浮かび上がるという仕組みであった.ある角度から見ると像は消え,角度を移動すると現れる…そして年間を通して太陽の位置の変化と共にビューアングルが移動することになる.その後,刑務所は取り壊された.
プロジェクトは、国から認可を得るまでの数か月間を要した。ウルシンは旧刑務所のガラスブロックの窓を作品化した。
※『16トンズ』は,1940年代に流行した歌のタイトルで,炭鉱での一日の労働で採掘できる石炭の量だという.この作品では,破壊したガラスブロックの重量が16トンであったという.
アーティスト | Seth Wulsin |
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アーティスト(日本語) | セイト・ウルシン |
ジャンル(建築家、ランドスケープなど) | アーティスト |
場所(国) | アルゼンチン |
場所(原語) | Caseros Prison, Buenos Aires |
完成年 | 2006 |
施主・主催 | |
関係団体(共催、後援、助成、協賛、協力) | |
資金源 | |
資金源(その他の場合) | |
予算規模(円) | |
外部リンク | http://www.sethwulsin.com/work/16tons/ |
タグ(地域、テーマ) | アルゼンチン, テンポラリー |