ミエーレ・レーダーマン・ユークレス“ フォロー・シティ”
ニューヨーク, 1983−91
—ニューヨーク市衛生局とのコラボレーション—
ユークレスは‘70年代から、ニューヨーク市の行政機関である衛生局の“アーティスト・イン・レジデンス・アーティスト(滞在して制作活動を行なうアーティスト)”となり、衛生局の協力のもとで 25以上のアートワークに携わっている。プロジェクトを通して、ゴミの問題をもっと自分たちのものとして捉え直すこと、そしてゴミの収集処理にまつわるさまざまな問題を扱っている。
<フロウ・シティ>
ニューヨーク衛生局は‘80年代初め、ゴミ処理シムテムの改修事業を始めた。施設はハドソン川の最も美しいエリアであるジョージ・ワシントン橋と自由の女神の間に位置している。 マンハッタン中のゴミを満載したトラックが集まり、施設からそのゴミが船によって埋立処理場へと運ばれて行く。
ユークレスは、エンジニアと共にこの場にパーマネントのパブリックアートを提案した。 “フロー・シティ”プロジェクトは2年を要し、人々が訪れゴミを処理する過程を実際に見るということをアートワークのなかに取込んだ計画した。
歩道ランプがガラス製のブリッジへと繋がってゆき、ブリッジから見学者はごみ処理の作業過程を見学できる。ブリッジの壁はガラス窿プラスチック、ゴムや木などのリサイクル可能な素材で出来ている。
現代消費社会が一生懸命ゴミとなる物を買うために働き、処理しきれないほどのゴミを放出していること。その努力の末に得た物を目下に運ばれて行くゴミとして再び見ること。そして考えなしでリサイクル可能なすべての素材を一緒に荷船に捨ててしまうことの愚かしさに気づいてもらうために、処理工程作業の流れを見れるように計画された。
ブリッジの終わりに“メディア・フロー・ウオール”というクラシュ・ガラスで出来た壁面がある。24のモニターがセットされており、施設の内外にあるカメラからのライブ映像や一般的なゴミ問題を流している。ハドソン側の川面の下流・中流・上流を接写し、マンハッタンに現在生息している30種の魚が生きる川中を写し出し一方、埋立処理場であるフレシュ・キルズ・ランドフィルにおけるゴミの蓄積をドキュメントしている。いかにゴミ処理場が地球全体のシステムにリンクしているかという事実を3種の映像がつくりだしている。
<The Social Mirror>
ゴミ収集車の車体を鏡張りにし、今収集しているゴミを出し続ける街や人々を映し込むイヴェント。
<Touch Sanitation>
約8,500人のゴミ収集職員と握手をし、
「ニューヨークの街をきれいにしてくれてありがとう。」と伝えるパフォーマンス。