SaMALのプログラムの一環として、葉山芸術祭のさまざまなアーカイブ資料を展示する「記憶の記録展」に企画協力を行いました。葉山芸術祭が25周年を迎える節目に、葉山芸術祭調査研究グループ(HAFS)が収集してきたアーカイブ資料を通じてこれまでの歩みを振り返る企画です。2018年1月27日・28日の2日間にわたり、会場には葉山芸術祭が発行してきたパンフレット、参加者の企画チラシやポスター、関係者のインタビュー映像、写真などが展示されました。
P+ARCHIVEは、展示会場の視察や展示プランの提案など、展示の準備段階でサポートしました。会場となった旧東伏見宮別邸は葉山に残る洋館で、登録有形文化財に指定されています。建物自体が葉山の歴史を物語る空間でありアーカイブ展示にふさわしい場所でしたが、文化財であるため展示方法には多くの制約がありました。そこで、フロアマップを作成して来場者の動線を検討したり、アーカイブを活用した展示の先行事例を紹介するなど、葉山芸術祭初のアーカイブ展示が実現できるように支援しました。
展示は、葉山芸術祭が葉山というコミュニティに与えてきた影響を見せるために、作品そのものよりも芸術祭に関わる歴史、場所、人々に焦点を当てて構成されました。また、アーカイブ活動を継続していくことの意義も示唆され、展示全体がその意思を感じさせる内容でした。
28日の午後には、展示に関連するレクチャー「地域の記憶を残す〜地域発住民主体アートプロジェクト葉山芸術祭を例に〜」を行いました。特にアーカイブの「活用」に注目し、アーカイブの重要なアウトリーチの一つとして、展示によって資料を見せていくさまざまな可能性について紹介しました。
葉山芸術祭は地域に根ざした活動であり、展示された資料やオーラルヒストリーとしてのインタビュー映像は、アートに留まらず葉山という地域の文化を伝える「コミュニティアーカイブ」という捉え方もできると感じられた展示でした。今後もこのようにアーカイブを活用しながら、葉山芸術祭が継続していくことを期待しています。