2021年度は、これまでのF/Tの実績と理念を後世にわたって伝えていくために「アーカイビングF/T」が展開され、その取り組みの一つとして、当法人が支援に加わりデータベースを構築することを目指しました。
このデータベースは、カタログや各年ごとのウェブサイトに分散された情報を集約し、2009年(2009年のみ春・秋の2回開催)から2020年までに開催した全13回の公演情報を横断的に検索できる構造を想定して、項目やデータベースの見せ方などについて検討を重ねていきました。
データベースを構築することの大きな目的は、膨大な数の公演情報を一式保存し、公演内容や作者など情報にアクセスしやすくなることにあります。公演情報を一元的に管理できるようになれば、より正確な情報をデータベース利用者に提供できるようになり、演劇関係者や、F/T愛好者のみならず、日本の舞台芸術研究への貢献が期待できます。
項目の検討のために、最初はF/Tの年度ごとに異なるプログラム区分の表記をまとめ、年度ごとにジャンル、プログラム数を集計したリストを作成し、作成が必要なデータ件数を割り出したり、データベース項目を検討するため、国内外の先行事例をリサーチし、それぞれのデータベースで使用される項目を抽出したリストを作成することから始めました。
「公演データ」と「人物データ」を公演ごとに付与する固有IDでリンクする構造など、国内外の演劇データベースで採用されている構造をもとに、F/Tの公演情報に合わせたデータベース項目案を作成しました。
全13回のF/Tの公演は、ディレクターの変遷もありプログラムの組み方や表記の方法にばらつきがあります。そのような表記の揺れをどのように集約してデータベースで検索可能な情報としていくのか、表現のかたちが多様であるF/Tの特徴を捉えることの難しさを考えながら検討を重ねていきました。
データベースの構造に関しては、コストや時間とのバランスを考えて、できるだけシンプルで使いやすい構造を考えていきました。何よりも初めて使う人にも分かりやすいナビゲーションとなるように、カテゴリーやタグを分かりやすくするなど、検索してみようというきっかけを作りやすいデータベースを目指していきました。
データベースの検索手段として、文字列検索に加えて、プログラム種別、ジャンル、上演年度など各データに付与される情報でソートできる構造を提案し、データベースをつくる人にも使う人にも分かりやすい構造を目指していきました。