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2020.06.04

[活動紹介|2]棚を新設するクラウドファンディングの提案

収納のために必要な棚幅の不足

最初のステップである現状調査では約405点の資料の背幅を1点ずつ記録していきました。様々な厚みを持つファイルや冊子の資料の背幅を合算することで、資料を収納するための大凡の棚幅を割り出すことができます。アーカスプロジェクトの場合、20mを超える棚幅が必要であることが分かり、アーカススタジオで収納棚の幅に対して十分ではないことが明らかになりました。

また、資料が主に保管されていた建物1階にある保管庫は、コーディネーターのみなさんが活動する2階のオフィスから遠くて活用しにくく、建物の北側に面していて空調設備もないことから資料を保管する場所としては適切とは言えませんでした。

クラウドファンディングの提案

活動するオフィススペースに隣接するサロンには元々小学校の校舎だった名残でロッカーを転用して棚にしていましたが、使い勝手は必ずしもよくありませんでした。資料のサイズにあった収納棚を新たに設置することで参考資料やアーカイブ資料を使いやすくなり、1階保管後に収納されていた資料の「活用」につながることが期待できました。そこで、図書館などアーカイブに関わるプロジェクトでも成功した前例が多いクラウドファンディング「ReadyFor」を紹介し、新しいアーカイブ棚の設置に取り組むことを提案しました。

2016年にアーカスプロジェクトがクラウドファンディングに挑戦し、関係者や市民の方々から多くの支援を得て目標金額を達成し、見事にプロジェクトを成功することができました。アート団体がアーカイブの枠組みでクラウドファンディングに挑戦し、プロジェクトを成功させた価値のある挑戦となりました。プロジェクトの内容や、棚の設置までの経過はReadyForのページでまとまって見ることができますので、ぜひご覧ください。
https://readyfor.jp/projects/arcusproject

アーカイブ資料の「見える化」

アーカイブ構築において「保存」と「利用」はどちらも重要ですが、そのバランスを常に考える必要があります。大切に保管されているだけではなく、アーカイブ資料は利用されることによって一層その価値を高めていきます。

一方で、資料を保管する空間は、「空調管理」「ホコリなどの汚れ」「虫害」「蛍光灯や日光などの光源」などあらゆる要因が資料が劣化する原因となり、理想的な保管環境をつくることは多大なコストがかかります。貴重な資料群を長く残していくために、限られたリソースの中でも最善の保管環境を作るためにできることから見直していくことが大切です。

今回の試みでは新しい資料棚をつくることで資料の存在をアピールでき、資料を「見える化」することで新しい活用の形が生まれます。クラウドファンディングの支援者に対してもアーカイブの価値や存在を改めて知るきっかけになり、さらなる支援にも繋がっていくことが期待できます。

アーカスプロジェクトだけでなく、アーティストや研究者、アーティスト・イン・レジデンスの運営者、そして近隣の市民にとっても貴重な「資産」であると言えるアーカイブ資料の「保存」と「活用」の両立を考えながら、アーカスプロジェクトのアーカイブ構築に取り組んでいきました。