アーティスト・イン・レジデンス(AIR)はアーカスプロジェクトの中心となるプログラムで、滞在したアーティストに関する資料は活動のアイデンティティを示す重要な資料の一つです。また、若手アーティストの支援を目的としてAIRプログラムを続けてきたので、現在は世界的に活躍しているアーティストの初期のキャリアを知りうる貴重な資料でもあります。現在でも多くのアーティストたちとコミュニケーションをとっていて、AIRを介したネットワークはアーカスプロジェクトの資産であると言えます。
94年度のプレ事業から100名を超える多くのアーティストがAIRで滞在し、アーティストたちの活動を支えてきました。アーカスプロジェクトの資料のなかでも、特に特徴的なアーティストの資料を分かりやすく整理できるアーティスト・ファイルを作る方法を検討しました。
先行事例として、国立東京近代美術館アート・ライブラリーの研究員にヒアリングして、アーティスト・ファイルの作成事例を伺いました。アーティストごとにフォルダを作りフライヤーやDMなどのいわゆる「エフェメラ資料」をまとめて保管する方法を取っていて、目録でもフォルダ単位で記録しています。この方法はニューヨークのMoMAなど世界の美術館でも一般的に行なっている方法であるそうです。このような考え方は無理なく取り入れることができるので、アーカスプロジェクトで検討するアーティスト・ファイルの作り方にも参考にしました。
アーティスト・ファイルとして統一したデザインで専用のファイルを製作することで、アーティストの資料であることを視覚的に明確にでき資料の価値を強くアピールできます。今回は、当法人が過去にも依頼した経緯があり、ファイル制作に実績のある「ファシリティ・マネジメント・サービス株式会社」による特注制作を提案しました。
ファシリティ・マネジメント・サービス社にサンプルを制作いただき、ファイルに資料する用紙、サイズ、綴じ具、強度などを検討しながら、最適なファイルのデザインを決めていきました。出来上がったアーティスト・ファイルに合うラベルフォーマットをWordデータで作成してデータを提供しました。