90年代に作成されたファイルには劣化が見られるファイルもあり、その中から12点を対象にリハウジング(資料の移し替え)作業を実施しました。作業は「原秩序(文書が保管されていた元々の配列)を乱さない」「現状よりも劣化させない」と行ったアーカイブの原則に基づいて取り組みました。
作業の際には事前に選別基準を定めて作業ガイドラインを作成して取り組みました。作業対象にした12点のファイルは、収納した資料とファイルのサイズが合わず変形しているなど、そのままの状態で保存することで劣化を進めてしまう恐れがあるため、優先して移し替え作業に取り組みました。移し替える新しいファイルは将来的にも入手しやすく廉価なもので、事務所内で使用しているものと見た目が近い、といった条件で選びました。このリハウジング作業は、ファイルごとワークシートを作成して作業経緯をまとめ、元の保管状態を記録しながら進めました。移し替え作業をしながら資料を1点ずつ分析し、アイテム単位で内容目録を作成しました。
資料とファイルのサイズが合わずはみ出してしまうことによってフチが劣化しているものは適切なサイズのファイルに移し替えて改善しました。そのほかにも様々な劣化の要因となるものは作業しながら改善しました。例えば、クリップやホチキスなどの金属製の綴じ具は錆びて資料に茶色いシミを残していました。このような綴じ具を取り除き、綴じてある必要がある資料は、劣化の影響が少ない紙クリップに交換するなど対処していきました。また、FAX原紙はインクが薄れ文字が読みづらくなっていたので、中性紙にコピーして文字情報を読み取れるようにして保存しました。
移し替えたファイルは、2016年度にクラウドファンディングで設置されたサロンの新しい書棚に開架していきました。棚の配置図を作成して棚番号を目録にも記録することで、必要なときに資料を探せるようにしました。
移し替えたファイルには、「元ファイルのタイトル/作成年度/資料ID/シリーズ分類」の項目を入力するラベルのフォーマットを作成しました。このフォーマットはアーカスプロジェクトでも更新しやすいWordを使って作成して提供しました。