はじめに、アート活動におけるアーカイブ化の意義について、そして、文書のライフサイクル、アーカイブ化の実際について、ご専門であるパブリック・アートを事例にお話しをされました。なぜアーカイブズが必要なのか、アーカイブズの価値について再確認することができ、特にアーカイブズが情報を知るという「民主主義の根幹を支える知的資源」であるという言葉は、アーカイブズが単に記録を残し、後世に情報を伝えるというだけではない大きな役割も担っているのだと感じました。そして、記録のライフサイクル論。現在の資料も時間の経過とともに記録資料=アーカイブズになっていくのです。事例「新宿アイランド・アート計画」を現時点から見る事で、これから資料を管理する上で必要なことが見えてきたのではないでしょうか。
後半は、開催中の「Morphe展」(Bact To The Morphe 1995-2000 「現代アートの記録と記憶」プロジェクト)の展示を見ながら、ワークショップは進められました。
Morphe事務局が保存してきた関連資料をP+ARCHIVEが仮所蔵し、公開に向けて整理・分類しているそうで、その貴重な資料である目録も公開され、目録作成の手法などの詳細が柴田さんから説明があり、まずその項目数の多さ、情報量には驚きました。そして受講生からは目録作成の技術的な方法、その効率化、そして展示というアーカイブズ公開にあたっての権利、許諾関係などについての質問まで及びました。
実際の展示と資料を見ることでアーカイビングが急に現実味を帯び、より深く考えることができたのではないかと思います。
このゼミを通して、アーカイビングは過去・現在・未来と時空を超える視点が重要なのだと感じています。それはアート・アーカイビングに限ったことではなくいろんなところで活用できるのではと密かに楽しみにしています。
(P+ARCHIVEゼミ受講生 内藤玲子)