ドキュメンタリー作家として活躍した佐藤真の残した資料や蔵書を『佐藤真文庫』として引き継ぎ、公開する活動が始まりました。東京・江戸川橋にある事務所の一角で、不定期にオープンするこの場所は、佐藤真がどのように社会と向き合い、ドキュメンタリー映画を制作し続けてきたのか、その思想の一端に触れられる貴重なアーカイブです。
佐藤真は、1990年代から2000年代にかけて、独自の作風で高く評価されたドキュメンタリー映画を数多く制作してきました。2007年、49歳という若さでこの世を去りましたが、彼の作品は今もなお注目を集めており、今年はレトロスペクティブ上映が全国各地で開催されています。
新潟県阿賀野川流域の暮らしを見つめた1992年の『阿賀に⽣きる』や、パレスチナの問題を問い続けたエドワード・サイードの足跡を追った2005年の『エドワード・サイード OUT OF PLACE』など、佐藤真の作品は、没後17年を経ても色褪せることなく、今なお影響を与え続けています。
佐藤真文庫には、彼が残した手書きの原稿や取材メモなど、ドキュメンタリー制作の過程を知ることができる貴重な資料が保管されています。今回、未整理のまま文庫に引き継がれた資料の整理に、文庫のメンバーと共に取り組みました。資料の状態を確認しながら、個別ファイルとボックスファイルを使って資料を整理し、目録への登録作業をワークショップ形式で実践しました。このアーカイブ化の作業はまだ始まったばかりですが、今後も資料にアクセスしやすくなるよう、引き続きサポートを続けていく予定です。
佐藤真文庫は、不定期で一般公開を行っています。詳しい情報はウェブサイトで発信されているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。