ART & SOCIETY RESERCH CENTER

P+ARCHIVE

2013.01.17

P+ARCHIVE2012 第6回ワークショップ 報告

 12月13日に行われた第6回ワークショップは、前半で現在種は船アーカイブズ・プロジェクトにおいて行っている資料の電子化スキャン作業の説明、後半で前回参加されなかった方に向けフォンドについての解説を行った上で、概要目録作成作業の総括を行う予定でした。

12月13日の講座風景

 前半ではまずP+ARCHIVEスタッフがスキャン作業を実演し、次に私が作成された電子資料の整理方法についての解説を行いました。まずスタッフが実演されたスキャン作業についてですが、作業の手順自体については特に注意すべき点はありません。ですが、スキャンする際に付ける資料のタイトルは機種やOSの違いなどによって生じる文字化けを防ぐため、半角英数字のみにすることが必要です。次に私が皆さんに提示した整理方法では、まずアートプロジェクトにおける業務ごとにファイルを作成し、作成した資料をそれらのファイルに分類してゆきます。そして、各ファイルには電子資料の他にExcelで作成したキャプションを入れて、半角表記ではない本来の資料タイトルや作成日、作成者、追記事項など資料についての情報を記述すると同時に、どの記述がどの資料についてであるのかが判るようにするため、半角英数字で表記した電子上の資料タイトルも並べて記述します。こうすることによってスキャンする資料が多い場合、作業の手間を省くべくタイトルを個別にではなく連番で付けることになりますが、そうだとしてもキャプションを通じて資料を混同したり、散逸することを防ぐことができます。

受講生より質問

 整理方法についての解説中、受講生の1人から質問が挙がりました。この時の質問を要約しますと、タイトルや作成日など資料検索のキーとなる情報の多くが重複している資料が多い場合、目当ての資料をピンポイントで検索出来るようにするにはどうしたらよいのかというものでした。受講生の方はExcelで作成した目録をそのまま利用者に提供するものと考えられたようですが、Excelファイルはあくまでも基礎目録でしかなく、利用者に向けては図書館の検索システムのよう入力したキーワードに引っかかる候補だけを表示するシステムを提供する予定です。検索した後は表示された候補の中から利用者自身に探してももらうことになります。こうしたシステムにおいてタイトルや作成日をキーワードにした検索よりも精度の高い検索を行うとしたら、資料のより詳細な情報を目録に記述しておく必要があります。しかし、受講生の方によると様々な事情でそれも難しいとのことなので、これ以上検索の精度を上げることは基本的に不可能となります。なおこの話題についてはより詳しく語ることはできます。ですが、このワ ークショップの本題から外れてしまうため、ここで切り上げさせていただきます。

 ただコンピューターを通じた検索では基本的にこれが限界ですが、資料に精通した専門家、図書館で言えば司書、アーカイブズで言えばアーキビストに問い合わせることで、目的の資料を速やかに見つけてもらうという方法もあります。この業務のことをレファレンスサービスと呼びます。

 ワークショップの後半は受講生の方とのやり取りにかなりの時間をかけてしまったため、概要目録作成作業の総括のみを行なうことにしました。皆さんが作成された概要目録に目を通しましたところ、ワークショップの後に送られてきたものも含めて皆さん全員概要目録作成に関する基本的な事項はしっかり押さえられていました。そこでワークショップでは皆さんに作成していただいた概要目録と私が今まで作成してきた概要目録 を統合する作業を、皆さんに見て頂くことにしました。ですが、この部分では私が作業するところを皆さんに一方的に見せているだけになってしまい、総括としては甚だ不十分なものになってしまいました。次回のワークショップでは今回の問題点を踏まえて、これまでの講座型ではなく歓談型のワークショップを行う予定です。その場において今回のワークショップにおいて説明しきれなかった部分もテーマにして皆さんと話し合ってゆきたいと思います。

(インストラクター 松井 隆)