1月23日に第7回ワークショップが行われました。
まずインストラクターの松井隆さんに、これまでのワークショップにおいて受講生が各自作成した概要目録が本目録へと統合される様子を見せていただきました。ここで注意が必要とされるのは、それぞれの概要目録上で資料に与えられたID番号が、本目録に統合する過程で重複してしまうことで混同が起きるという問題です。この問題を避けるため、本目録作成段階において、資料に改めてIDを付与し直す必要があります。今回は本目録作成時に、より上位に「寄港地」という新しい項目を作ることにより、IDが重複することなく、各自が作成した概要目録を本目録へと集約することが可能となりました。
続いて、P+ARCHIVEスタッフの井出竜郎さんから、今後「種は船」プロジェクトのアーカイブを作成していく上で参考となる、国内外の様々なアーカイブ事例の紹介がありました。一例として、東日本大震災による被害からの復興の過程を記録・配信している「3がつ11にちをわすれないためにセンター」のwebサイトが紹介されました。このサイトでは、地域や時系列などに沿ってコンテンツが提示されているため、利用者はより視覚的に情報を感じることができます。これはアーカイブを、利用者に対してどのような形で提供するかについて考える良い機会となりました。また、何気なく利用しているwebサイトなどにも、アーカイブ的な発想のヒントが潜んでいることを教えていただきました。例えば、アーカイブを利用する際に、コンテンツに設定されたタグやキーワードをきっかけに検索を行いますが、これはアーカイブに限ったことではなく、ファッション通販サイトなどでも私たちは同様の作業を行なって商品を探しています。このように、私たちが日常的に利用している仕組みを、アーカイブの作成にも応用できる可能性があることを知りました。
ワークショップの後半では、受講生たちが提出したキーワードに基づき、「種は船」プロジェクトのアーカイブに関して、どのような視点から、どのようなことを読み取りたいかについてディスカッションが行われました。提出されたキーワードは、「関係した人々」、「出会い」など、多くの人々が関わった「種は船」プロジェクトならではの人との出会いに関するものが最も多く、その他に「ワークショップ」、「(プロジェクトを通して見えてくる)ストーリー」、「(プロジェクトに対する)反響」などが挙げられました。また、ある受講生からは「海からの視点」という意見がありました。実際にTANeFUNeに乗船し、航海を行ったという点こそが、他のアートプロジェクトにはない「種は船」プロジェクトの魅力であり、ある意味「種は船」プロジェクトの本質であるとも考えられます。利用者がアーカイブを閲覧する際に、TANeFUNeからの海上の視点を擬似体験できるような見せ方を考えてみてはどうかという興味深い提案がありました。アーカイブの内容のみに限らず、利用者への見せ方を含めて、今後「種は船」プロジェクトならではのアーカイブが作成できるという可能性が感じられた、有意義な対話が行われました。
(受講生 田口智子)