アーカスプロジェクトとの打ち合わせを重ねて、資料全体の構造を分析して「シリーズ」を検討していきました。シリーズとは、資料の作成目的、形態、作成元、内容などによって仕分ける区分で、資料同士のつながりや来歴などのコンテクスト情報がわかりやすくなります。シリーズ区分はプロジェクトの過程で更新しながら検討を重ねていき、シリーズごとに作業を分けて進めるなど作業フローの組み立てにも活用しました。
シリーズ体系はアーカイブズ資料の特徴によってその構造は大きく変わるので、その作成母体となる組織の活動内容の分析が大切です。アーカスプロジェクトの場合は、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラム、地域プログラムといったプログラムの位置付けや、年代ごとに変わってきた運営体制の変遷が特徴として挙げられます。
基本的な考え方として時系列で整理していきました。そのうえで、運営体制の変遷による区分でまず分類し、その下位階層に資料の作成目的や形態ごとにシリーズ区分をつくり階層構造で体系化をしていきました。この階層構造による区分は、アーカイブズ資料の目録記述の国際標準記述である「General International Standard Archival Description」(第2版)に基づいて検討しました。
目録は、資料に関するメタデータ(資料そのものに関する情報)をリストにまとめ、検索や管理のために作成します。目録の作成はアーカイブ構築において基盤となる重要な作業です。アーカスプロジェクトの目録作成では、ファイル単位(資料が束ねられた状態)で目録を作成しても運用できていましたが、写真資料や90年代資料のように、移し替え作業を行った一部の資料を中心に、アイテム単位(これ以上分割できない資料の最小単位)で「内容目録」を作成した資料もあります。アイテム単位の内容目録はより細かい記述をしていく必要があり作業量が大幅に増えるため、必要になった資料のみを対象に実施しました。
目録は項目の機能ごとに6個のエリアに分けて、計35項目で作成しています。項目ごとのエリアは、下記のようなものに分かれています。
アーカスプロジェクトが発行してきたカタログや報告書は活動を時間軸で捉える重要な資料です。保管する部数は、アーカイブズ資料として永久保管するのは原則として1冊を目録に登録しました。一方で、この発行物は閲覧する頻度が多かったり関係者に配布することもあります。発行物の保管部数はばらつきがあり一部は在庫過多の状況だったため、一定部数は長期保管用、余剰分は配布用として管理できるように在庫表を作成しました。