「くんくんウォーク@お茶の水」の記録として、関係者の言葉を残すということも考え、このワークショップにとって重要な開催場所、ECOM駿河台のご担当、浦嶋裕子さんにインタビューをさせていただきました。
三井住友海上火災保険株式会社
総務部 地球環境・社会貢献室
浦嶋裕子氏
下見会ではアーティストの井上さんと、ECOMの浦嶋さん、倉持さんと屋上庭園からお茶の水の街へとルートを確認しながら歩きました。
街の香りを探して、本番では行けなかったギャラリーさんでお茶の水のまちの今昔についてお話を伺ったり、
楽器店やスポーツ店でもくんくん。
浦嶋さんにはワークショップ一日目のグループリーダーも努めていただきました。
そんなこんなの「くんくんウォーク@お茶の水」を振り返って、下記の質問に回答いただきました。
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ー 最初に今回のワークショップで、香り、においを嗅ぐことを意識してみて、個人的にどのような感想を持たれましたか?
同じ街でも、「嗅覚」を頼りに歩いてみると、まったく違ったことに気づくので、自分でも驚きました。
逆に、今まで「視覚」や「聴覚」を使っていなかったことも気づかされますね。五感は、それぞれが動き出すと相乗効果で面白い働きをする、そんな印象をもちました。
ー ECOM駿河台はひのきの香りが心地良いスペースで、屋上庭園をはじめ、ビルのまわりにも四季を通じてさまざまな植物、自然を育んでいらっしゃいます。この環境のなかで、特に香りについて考えていらっしゃる事がありましたら教えていただけますか?
ECOMの階段や壁の内装は無垢のヒノキを使っています。
香りやその他成分を室内で楽しむため、あえて塗料は塗らずにしています。
ヒノキも「息」をしているから、香りが出ます。植物が香りを出すのは、すなわち「いのち」なんです。
そんなことを気づいてもらえたらうれしいと思っています。
ー くんくんウォークでは屋上庭園にサプライズスパイスとしてお茶の水のまちをイメージした香りを5つ用意しました。
・カレー粉(カレー屋さんが多いことから)
・コーヒー(喫茶店が多いイメージから)
・新聞紙(本屋さんや印刷屋さんのイメージから)
・抹茶(お茶の水のお水は茶の湯に使われていたことから)
・大学芋(学生街のイメージから・・!)
実際にお茶の水で働いていらっしゃる浦嶋さんからのアイデアが多かったですが、
くんくんウォークを通して、お茶の水の街に対して改めて感じたこと、発見などがあれば教えて下さい。
オフィスビルばかりの街とは違って、楽器店があったり、小さな印刷会社があったり、大手資本ではない飲食店がたくさんあったり、人の息遣いが感じられるこの街に今まで以上に愛着を覚えました。
ー ECOM駿河台では、これまでも数多くの催しをさまざまな団体さんと実施なさっていると思いますが、
アーティストによるワークショップに対する感想や、また可能性や課題などありましたらご意見をお願いいたします。
ECOM駿河台は「生物多様性」をテーマにした緑地が目玉です。この自然からのインスピレーションをアーティストの皆さんに大事にしていただいてワークショップを企画してもらい、とてもありがたいです。
昔、人は自然の恵みや脅威の只中で暮らし、感謝する心や愛でる心やまた畏れをもってつきあっていました。現代人は、あまりに自然と乖離してしまい、その心を失いつつあります。
都市にある緑や自然は生態系を保全する、といった大仰なテーマではなく、 人間がまたこういった自然との「回路」を結びなおすきっかけをつくる、 ということが大事だと感じています。
そのとっかかりとしてアートは非常に有意義な手法だと思っています。小さな緑地、小さな施設ではありますが、このコンセプトに共有していただけるアーティストさんとコラボできるのが、これからも楽しみです。
ー ECOM駿河台では、さまざまな団体さんと数多くの催しを実施されていますが、活動の記録をどのように残されているのでしょうか。
痛いところを突かれてしまいました。実は活動記録としてホームページに紹介していましたが、今はFacebookに活動記録を逐次掲載しています。もちろん資料や当日の写真などは保管しています。アーカイブ化がもっとできればいいのですが、なかなか手が回りません。
ー 最後に ECOM駿河台の施設についてや、その他お気づきの点があればお伝え下さい。
小さな施設ですので、たくさんの方は入れません。大勢の方を呼ぶというよりも、ECOM駿河台ならではの活動を企画し、楽しんでもらえたらと思っています。今後の課題としては、もっと「みんなの緑地、みんなのECOM」としてみんなに使ってもらえる場所にしたいですね。
A&Sさんが目指されていることには、とても共感をしています。近くにこういったNPOがいてくれてとてもうれしいです。活動はいろいろとたいへんだと思いますが、今後もいろいろなことをご一緒することを楽しみにしています。
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浦嶋さん、ありがとうございました!