インフォーマル レクチャー Vol.9

IFレクチャーの9回目は、文化人類学・民族学研究に応用される映像撮影技法の研究者、平野大さんにお話を伺います。
平野さんは、渡仏後、映画監督であり文化人類学者のジャン・ルーシュ(1993年国際平和賞受賞)と出会いました。
民族学研究のための映画を定成させたのが、マルセル=モースに師事していたジャン・ルーシュ。平野さんは彼が提唱した映像を人類学に応用するAnthropologie visuelleを継承し、「技術の記録」について研究を進め現在に至ります。映像は時間の流れを記録できるメディア。映像を使うことによって、さまざまな技術の過程を詳細に研究することができます。技術に関する詳細な研究を可能にする映像を撮影するために、技術の撮影には撮影者の身体性を研ぎ澄まし、身体を開放していかなければなりません。
今回のレクチャーでは、平野さんの研究テーマである「技術の記録と身体性」について実例をもとに解説していただきます。記録するための身体技法とはどのようなものか、また、多様な文化の伝承のための撮影技法のありかたとは。平野さんの研究は、映像撮影技法について私たちに新しい視座を与えてくれるでしょう。(監事/深町浩祥)

『技術の記録と身体性』

11月26日(木) 19:00〜20:30
トーク: 平野 大(Hirano Dai)  ESMOD TOKYO専任講師、芸術学博士(パリ十大学)

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インフォーマル レクチャー Vol.8

IFレクチャーの8回目は、日本における環境アートの草分け的存在として、環境、平和、教育などに及ぶ広域な活動を推進しているアーティスト、池田一さんにお話を伺います。
池田さんは、「制御の困難な“水”という媒体を使い、全く新しい言語を創り出している」といわれ、世界各地で、地球環境問題、特に水と強く結びついたアートプロジェクトを実現し、その活動は広くIKEDA WATERとして知られてい ます。それは社会と自然のシステムにおける、新しいパースペクティブの必要性を提案し、水を通じての環境意識の変革をめざす実験的な活動であり、その横断的な協働によって、アートという領域を社会参加へのプロセスとして解放する実践ともいえるでしょう。
このトークでは、池田さん独自の表現言語である「Water’s-Eye」(水瞰図)の具体的な意味・役割を、デリーでのパブリック・エコアート展、鹿児島での花渡川アートプロジェクト、閉鎖された都市河川・芝川(川口)での活動などを中心とする最近の活動から紹介していただきます。
なお、池田さんのトークに先立ち環境アートの活動全般についてショートトーク(15分程度)を行います。

『 Water’s‐Eye −最近の活動からー』
10月29日(木) 18:30〜20:00
トーク: 池田 一 (Ichi Ikeda) アーティスト

 

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インフォーマル レクチャー Vol.7

IFレクチャーの7回目は、夏休み企画ということで、2009年・2008年における『全米パブリックアート・ノミネート・プロジェクト』を報告します。
皆さまと共にビールを片手に、「これはいいかも!こりゃーひどい!」などと厳しく且つ和やかに、この2年間につくられたアメリカでのパブリックアートを鑑賞したいと思います。ナビゲーションはA&Sの工藤安代が勤めます。いつものA&Sレクチャーとは一味違い、さらにインフォーマル度の高いレクチャーとなること間違いなしの会、パブリックアートにご興味をお持ちの皆さまのお越しをお待ちいたしております。

『2008-2009年:アメリカ・パブリックアートの報告』

8月26日(水) 18:30〜20:00
トーク: 工藤 安代 (A&S代表理事)

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Public Art Review 20周年特別号

“Here to Stay: Public Art and Sustainability”

テーマは“サスティナビリティ(持続可能性)
今日、パブリックアートにおいてサスティナブルとはいかなる意味なのか?
評論家、キュレーター、アーティスト、行政担当者などから50以上の寄稿を掲載。

主な寄稿者20名:
Patricia Phillips / Seyed Alavi / Lance Fung / Jerry Allen / Peter Kramer / Lucy Lippard / Judy Baca / David Abram / Cathey Billian / Mary Altman / Brad Goldberg / Deborah Karasov / Gregory Sale / Janet Echelman / Margaret Bruning / Mel Chin / Steve Dietz / Suzanne Lacy / Jeffrey Kastner / Liesel Fenner

A4、98頁 定価1,700円

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インフォーマル レクチャー Vol.6

IF レクチャーの第6回目は、慶應義塾大学准教授であり、デザインエンジニアとして活躍している田中浩也さんにお話しを伺います。
田中さんは、久原真人氏とともにデザイン・エンジニアリング・ユニット『tEnt』を経て、先端的なテクノロジーを用いながら、環境をテーマとしたインスタレーション作品を発表しつづけています。『tEnt』の活動は、建築分野では当たり前とされる、「場所性・気候・風土・地域・土地」への視点をメディアアート分野に取り込んでいく試みといえます。それは、建築領域で有効な概念をメディアアートに取り入れていく実験的活動であり、テクノロジー、メディアアート、パブリックアート、建築、都市が混淆する脱領域でのハイブリッドな表現活動だといえるでしょう。
このトークでは、『アルスエレクトロニカ』にて2007年より新設された最も新しいカテゴリである「Hybrid Art」に関するお話を中心に、田中さんが今考える創造活動の構想についてお話をじっくり伺いたいと思います。

『アルスエレクトロニカ “ハイブリッド・アート”を通じて 』
7月16日(木) 19:00〜20:30
トーク: 田中浩也 (慶應義塾大学准教授)
会場:アート&ソサイエティ神田事務所
予 約: info@art-society.com (先着順)
参加費: 1,000円(各回) ※ワンドリンク付き

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インフォーマル レクチャー Vol.5

IF レクチャーの第5回目は、美術家の岩井成昭さんをお招きしてお話をうかがいます。
近年、コミュニティの調査をベースに作品制作を行なっている岩井さんですが、東南アジア3カ国に取材する長期プロジェクトを進めています。 プロジェクトでは、「コミュニティ」、ひいては社会の組成要素としての「家族」をめぐる さまざまなディティールを映像化する試みが行われます。

今回のIFレクチャーでは、このプロジェクトの中間報告を中心に、 東南アジア各地の生活をアーティストの視点で語っていただきます。

『不随意の共同体・現代家族 』
5月26日(火) 18:30〜20:00
トーク: 岩井成昭 (Iwai Shigeaki)

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インフォーマル レクチャー Vol.4

IFレクチャーの4回目は、慶應義塾大学教授の熊倉敬聡さんを お招きしてお話をうかがいます。今回のレクチャーでは、熊倉氏が体験したユーラシア大陸横断、アーティスト・イン・レジデンス『silent shadows』への参加、ベトナム人禅僧ティク・ナット・ハンのPlum Villageでの滞在、インドでのヨガの修養などのお話を伺います。その映像を交えながら、熊倉氏が「“もう一つの”Art of living」と呼ぶものを探究していきたいと思います。

『 “もう一つの”Art of livingを求めて
—フランス、ユーラシア、インド、そして瞑想— 』
4月24日(金) 18:30〜20:30
トーク: 熊倉 敬聡 (Takaaki Kumakura) 慶應義塾大学教授

 

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New Land Marks : Public Art, Community, and the Meaning of Place


Penny Balkin Bach (Editor), Ellen Dissanayake, Thomas Hine, Lucy R. Lippard

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Critical Issue in Public Art : Content, Context, and Controversy

Edited by Harriet F. Senie and Sally Webster, New York: An Imprint of Harper Collins Publishers, 1992.

1992年に出版されたパブリックアートに対する始めての本格的な批評本。パブリックアートのフィールドに関わる者に必読の本と言える。モニュメントから壁画、メモリアルまで過去において設置された作品から現代のものまでを研究対象にし、パブリックアートにおける政治性、パトロネージュとの関係、真なる公共性について厳しい眼差しで考察されている。

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Mapping the Terrain : New Genre Public Art

Edited by Suzanne Lacy, Washington: Bay Press, 1995.

米国パブリックアートを語る上で、重要な活動を行なってきたスザンヌ・レーシーによる編集本。米国パブリックアートにおけるエポック的な著書と位置づけられる。レーシーは、一般市民、マイノリティー、低所得家庭の青少年などを巻き込んだ大規模なアートイベントを数多く実施し、コミュニティ参加と言う考えをアーティストの立場から、またパブリックアートの評論家という立場から検証し続けている。
「Mapping the Terrain」は、公共空間に置かれた彫刻という古典的なパブリックアートについて語ることから始まり、現代の社会問題や日常的な関心事に深く根ざした様々なメディアにわたるアート活動にいたるまでが語られている。レーシーによるイントロダクションは、米国のパブリックアートの歴史的流れと彼女の定義する新しいジャンルのパブリックアートを理解するうえで示唆的である。 また、共著者の一人であるメリー・ジェーン・ジャコボは、これまでに数多くのパブリックアートの展覧会企画を行い、その斬新で挑戦的な展覧会は、その後のパブリックアートを考える上で大きな影響力を持った。

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