S.O.S.レポート「オルタナティブ・スペースが還るとき」

ツアー当日、出発場所となっていたアートラボはしもとではS.O.S.のメンバーによる関連企画「SOMETHINKS Planning by ARTISTS」展が開催されていた。

ツアー当日、出発場所となっていたアートラボはしもとではS.O.S.のメンバーによる関連企画「SOMETHINKS」展が開催されていた。


「オルタナティブ・スペース」という言葉をあちこちで聞くようになって久しい。一見すると定義がし難いように見えるが、例えば千代田アーツ3331のように、ひとつの場を展示スペースとしてはもちろんのこと、講演会やワークショップ、そしてオフィスや地域住民の集会所など、表現活動に派生した様々なアクティビティを行う場と考えて良さそうだ。
 今日、このようなオルタナティブ―すなわち多様な芸術表現を受け入れるための場は、アーティストのみならず市民をも巻き込んで、「アート」の既成概念を拡張する土壌となりつつある。見る/見られる者、表現する者/それを支える者といったあらゆる境界を統合しつつ、時には祭事的な色を湛えながら、オルタナティブ・スペースは開かれた場として芸術と一体化しているのである。
 言うまでもないことだが、表現の場をめぐる格闘は20世紀の芸術を語るうえで重要な位置を占めてきた。戦後、物理的・制度的制限のあるホワイト・キューブを踏み越えたアーティストたちが新たな表現の場を模索し、そのムーヴメント自体が社会やコミュニティを生成する役割を担ってきた。例えば、2000年代初頭から日本各地で開催されるようになったアートフェスティバルという形式は、その系譜を受け継ぐムーヴメントと言ってもいいだろう。とある場を舞台に、作品を介して人と人が出会い、関係性を構築する。作品は一連のプロジェクトの仲介役としての役割を果たし、作品鑑賞を含めた「その場での体験」そのものに価値が見いだされる。ニュートラルかつ“鑑賞体験の純粋性”1を志向したホワイト・キューブから、オルタナティブあるいはサイトスペシフィックな場、そしてそれをもとにしたヒト・モノ・コト間の関係性の構築へ————。このような変遷を踏まえて、以下改めてアートと場の関係性について考えてみたい。というのも、先日伺った相模原のプロジェクトが、この文脈において新たな表現の場の「見方」を示唆しているように思われるからである。
 SUPER OPEN STUDIO(通称S.O.S.)は、神奈川県北部の相模原で活動するアーティストのアトリエを一般に公開するプロジェクトとして、2013年にスタートした。その制作から展示に至るまでの包括的な活動を作り手自らが組織するムーヴメントとして注目を集めている。アーティストの制作現場における展示というと、例えばヤン・フートが1986年に行った「シャンブル・ダミ(Chambres d’Amis:友人の部屋)展」が挙げられるだろう。ベルギーのゲント市の家々を舞台として、フートと面識のある国際的なアーティスト51人がそれぞれの家で制作・展示を行った画期的なキューレーションである。期せずしてこの展覧会は地元アーティスト主催の展覧会を誘発する効果を生み、オルタナティブ・スペースの代表例として知られることとなった。言わばキュレーターがアーティストの自主展覧会の起爆剤としての役割を担ったわけである。
 一方、S.O.S.は相模原に拠点を持ったアーティストが、日頃制作の行われている“実際の”アトリエ(S.O.S.ではスタジオと呼んでいる)を舞台に、キュレーターではなく“彼ら自身の手によって”企画・運営が組織されているという点で、前者とは一線を画している。昨今はTAV GARELLY2やART TRACE GARELLY3など、若手アーティストがひとつの場を基盤として活動するオルタナティブ・スペースが増加しているが、S.O.S.もその一例と言えるだろう。どれも展示活動に派生したアクティビティを、資金調達・運営手法の確立等によって実現可能にしている先例である(左記の過程は、アーティストが自律し、その表現の独立性を保持するためには欠かせないことは言及するまでもない)。
 今回、秋季に開催された「スタジオビジット・ツアー」に参加し、計9か所のスタジオを巡った。インターネットで応募した参加者が貸し切りバスに乗って、1日をかけ各スタジオを巡るというプロジェクトだ。今年度S.O.S.に参加しているアトリエは23組、アーティスト数は述べ110人を越える。相模原市の事業として運営されていた2年間を経て、S.O.S.は2015年からアーティストによって組織された団体「Super Open Studio NETWORK」がセルフオーガナイズしている。ツアー参加者は、美術大学に通う大学生、キュレーター、美術愛好者等で、なかにはアメリカのアートフェアから来たという関係者もおり、実に幅広い。貸し切りバス車内の程よい緊張感は、コーディネーターの久野さん(作家であり、「studio kelcova」のメンバー)のお話を聞くうちに和気藹々とした雰囲気に変わり、ツアーは終始和やかなムードで進行した。

 相模原は政令指定都市として県内で第3位の人口を有し4、東京都南部との県境に位置するベッドタウンである。関東有数の米軍施設拠点・工場地帯として、また多摩美術大学、東京造形大学、女子美術大学、そして桜美林大学が群立する文教地区としての顔を持ち合わせるこのエリアは、3,40代がその人口の基盤を占める5。その一成員であるS.O.S.のアーティストは、先述した大学の卒業生が多く、それに派生したコミュニティを形成しているようだ。彼らは閉鎖された工場の建物などをスタジオとして再利用し、制作を継続している。衣食住を共にするところもあれば、制作のみ、作品の収蔵庫として使用する人もいるが、ビジネスライクな関係というよりは、たまに食事を共にする友人のような(もちろん家族のようなところもあった)、程よい距離感が構築されているように見えた。

セクシュアリティをテーマにした長尾郁明氏の作品(TANA Studio にて)。ポルノビデオの女性器のイメージをグリッドに還元している。

セクシュアリティをテーマにした長尾郁明氏の作品(TANA Studio にて)。ポルノビデオの女性器のイメージをグリッドに還元している。


 久しぶりに友人の家を訪ねるような気軽さでスタジオに案内されると、アーティストが茶菓子を用意してにこやかに出迎えてくれた。或いは、こちらに脇目も振らず制作に熱中するアーティストの横を、「目撃者」として通り過ぎる時もあった。総じて言えるのは、画廊や展覧会を見に行く時のような、「見る者」と「見られる者」という明快な境界線がないということである。或いは、非日常としてのキューブのなかで、「作家」や「作品」と対峙する時のような、どこか“特別な”演出も一切無い。彼らはただ「作品を作る人」として、そこで出迎えてくれる。メンバー同士では普段どんなことを話すのか、建物を改装した時のハプニングや、近所の人が差し入れを持ってきてくれたこと、買い出しが少し不便なこと、そしてその延長線上で制作に繋がる自分のエピソードや、作品に込めた思いが紡がれていく。驚くほど自然に、隣人としてのアーティストの本音を聞くことができるのだ。お互いが話し、耳を傾け合うことで、一人ひとりの作家と対等な距離感でコミュニケーションをとることができる。もちろん先述したように、関係者も来ているので、この機会を機に自分を売り込むこともできる。拠点は相模原としつつ、銀座などのギャラリーで発表をする者も当然いる。つまり、あくまで拠点を相模原に置くことのみが共有されているコミュニティなのである。S.O.S.の代表である山根一晃氏はステイトメントのなかで以下のように述べている。「様々なアーティストが異なる目的のもとに集い、同じような風景の下、同じような食堂でご飯を食べる。そして、この相模原という場所をハブとして、各々がめざすものの為にそれぞれが自らの意思と責任のもと動いていく」。6このように、スタジオという場を起点としたメンバー同士のゆるやかで独立した個人からなる連係が、また新たなアトリエ同士の連係を生み、それが地域住民との共同体へと円環状に波及しているのだ。
 当たり前のことのようでいて、とりわけ日本の社会では、このようなフラットな関係性のなかでアーティストと対峙することは難しかったのではないだろうか。昨今東京藝大の“特殊性”について取り上げた本が話題となったように、アーティストをどこか別世界の存在として、才能や独創性という言葉で区別してしまう傾向は、未だ確かに存在する。昨今のアートフェスティバルも、地域の持つ自然や建造物、温かな人間関係等とアートの共存を目標とする傾向にあるが、そこに展示される作品は“地域の魅力を引き出すことを目的としたアート”であることが多い。それらが良いか悪いかはさておき、あるテーマをもとに輸入されたキュレーション・プロジェクトであることには変わりない。その点、S.O.S.は、相模原という場を基盤として、まずアーティストがそこに拠点を置くことから始まっている。スタジオを構え、地域の人々と隣人として交流し、生活する延長線上に作品制作がある。アウトリーチの結果としてではなく、自然発生的なエンゲージメントの結果として、アートが緩やかに内在する共同体が形成されつつある。
「pimp studio」にて。自動車修理工場を改装したスタジオで、現在11人のメンバーが集う。

「pimp studio」にて。自動車修理工場を改装したスタジオで、現在11人のメンバーが集う。

 日本のアートプロジェクトは現在、2020年のオリンピックに向け発展の途にある。それは同時に、高齢化に伴う諸地域の過疎化、地方産業の衰退、あらゆる文化施設予算の縮小等、山積する問題の切り札としてのアートが推奨されていることを意味する。官民恊働や国際規模でのプロジェクトは、様々なアーティストを奮起させ上述した危機の打開策となる可能性を持つだろう。しかしその一方で、近現代で議論されてきた先導̶追従の垂直的な構図をなぞる危険を孕んでいることは、既に論じられている通りである。S.O.S.は、先述したステイトメントのなかで、彼ら自身の活動を「アートという場のインフラ整備」だと語っている。明確なオピニオンのもとに集った集団でもなければ、地域おこしのためのプロジェクトでもない。ただひたすらに、異なるアジェンダを持ったアーティストがひとつの場に共存し、静かに、しかし着実に相互関係を構築しているのだ。元来共同体にとって、土地は彼らの“包括的な基盤”7であり、根ざす場なしにその継承は困難であった。土地を拠点とした生産活動を営み、その上で個人としての活動をも並行させる共同体は、中長期的なアートの“インフラ整備”を遂行させる上で重要なムーヴメントとなり得るだろう。その意味において、今日における表現の「場」との関わり方は共同体の命脈を左右する重要なファクターである。大地が肥沃に還るその時こそが、時代の起点となるのではないだろうか。
(文:高橋ひかり)



1 ホワイト・キューブ 現代美術用語辞典ver.2.0 http://artscape.jp/artword/index.php/ホワイト・キューブ
2 専属キュレーターがそれぞれのキュレーションによる展覧会を行うギャラリーとして2014年に始動。展示スペースのほかに、ワークショップやイベント等を行うLAB SPACEを有する。http://tavgallery.com
3 NPO「ART TRACE」を母体とした、両国にスペースを持つアーティストラン・ギャラリー。武蔵野美術大学OBOGの主要メンバーを主軸に、期ごとに参加メンバーを公募、展覧会を主に講演会やワークショップなども行われる。同母体の関連事業としては林道郎著「絵画は二度死ぬ、あるいは死なない」シリーズを出版するART TRACE PRESSなどがある。http://www.gallery.arttrace.org
4 神奈川県の人口と世帯 神奈川県ホームページ…http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f10748/
5 平成27年1月1日現在。…http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/toukei/20998/jinko/nenrei/index.html
6 『SOSBOOK 2016』, p4
7 大塚久雄著『共同体の基礎理論』岩波書店,2000年, p12

高橋 ひかり(Hikari Takahashi)
1995年生まれ。神奈川県出身。武蔵野美術大学芸術文化学科在籍。2014年より絵画制作活動を開始、アーティストランギャラリー・ART TRACE GALLERYにおける個展等7回の出展を経て現在 に至る。アートムーヴメントにおける共同体の自律性・持続性に興味を持ち研究をすすめる。

 

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「イカロスプロジェクト」 パリ郊外留置所受刑者との交流

La maison centrale de poissy

La maison centrale de poissy


イカロスとは、父、名工匠ダイダロスの作った蝋で固めた鳥の翼によって空を飛び、迷宮(ラビリンス)からの脱獄に成功したものの、一緒に飛び立った父の忠告を聞かず、太陽に近づきすぎて蝋が溶けて墜死したギリシャ神話の人物です。

昨今の過剰とも思える資本主義と急速なグローバル化変遷の中で、イカロスの問いかける意味、迷宮(ラビリンス)の意味する事はあたかも現在の世界動向を象徴するようで、また、目の前の共同体の中にもそれが存在するがの如くに思えます。

2015年1月、「イカロス」と命名された受刑者とのプロジェクトは、フランス人作家ジュリー・ラマジュ(Julie Ramage)と共に始めました。
彼女はパリ郊外ポワシー刑務所での講師をパリ第7大学人文学社会学リサーチの一環として始めたばかりでした。ジェンダー問題を通し、傷や痕を彷彿させる写真作品を発表していた彼女は、私が行ったパリでの展覧会の出会いから、作家間での共通認識を通して交流していました。
私は、版画における複製品としての役割を消費文化というコンテクストからとらえ、社会と記憶の関わりを考えて活動していました。2014年秋、そんな活動に興味をもったラマジュは私に共同製作を提案してきたのです。

彼女はこの受刑者とのイカロスプロジェクト制作にあたり、アントナン・アルトーの作品を通して、人間や社会における、”傷”、”痕”、”記憶”を問い、またミッシェルフーコーの文献よりライティングワークの概念を提起し、肉体的、精神的、規律と強さ、客観的観察と主観的知覚の混合を通して、社会に問題提示を試みようと投げかけました。そして、この講義を作品として刑務所内と外で発表する事でソーシャリー・エンゲイジド・アートを試みようと考えていました。
留置所の参加者は十数名で各々のテーマをもとにコラージュや、詩、デッサンを提出しました。

私は彼らの作品を銅版画の特製を生かし、厳密にトレースする事で作品のオリジナリティーをフィルタリングし、版に刻まれる“傷”や“痕”、思想を記憶媒体の一つの出来事として複製化出来るのではと提案し、また受刑者本人の作品と特定されない方法で、外部とコミュニケーションする効果を見いだせるのではないかと提案しました。

アトリエでの版画製作過程

アトリエでの版画製作過程


このプロジェクトに参加する前提で、自らに問わなければならなかった事の一つに、移民としてフランスに生きる自分の所在でした。そして現実と非現実を横断するシャーマニズムのような“業”的なものを思い描きました。また、日本の裁判による死刑制度とヨーロッパの終身刑制度を通して”近代社会の共同体と倫理観とは?”との視点を思考する機会でなければと思いました。

受刑者達が刑を執行されている保護期間において、更生し再度社会活動を営む為には社会的規範を学ぶ経験と教育が必要とされます。
ただ、昨今のフランスの社会状況を考慮しても受刑者の70%弱(多くがアフリカ、マグレブ系によるイスラム教徒という事です。)が移民出身であり、その問題から来る差別感覚、貧困化、教育の行き届かない現実が犯罪への温床を生み出すとみなされていました。ひいてはフランスのテロ活動を起こしたと言えるイスラム原理主義者は、刑務所内で偏ったコーランの解釈を学び、改宗されていったという報告もなされています。
(まさにこの共同プロジェクトの制作中、アトリエから2ブロック離れた場所でシャルリーエブド襲撃事件は起きました。)

共同作業の中で特に意識した事は、受刑者の身元が特定されない事、そして全ての表現イメージは刑務所の秩序が失われない範囲に限り管理され、刑務所を司る法務局の認可を受ける事でした。一般的に自由であるはずの芸術的表現において、管理下の中で表現を考える緊張感は、とても興味深く貴重な体験でした。

2016年1月、パリ第7大学敷地内にあるベトンサロン(Bétonsalon Centre d’art et de recherché)にてイカロスプロジェクトを発表する機会が訪れました。当日は大学教授そして生徒達を含めて一般の来場もあり、作品を前に多くの意見交換を持てたのではと感じています。
ただこの展示には多方面からの問題提示をしつつも、筆跡心理学(graphology)的見地、災害心理学(désastre)、現在の社会構造や、そこから排除され、再度社会の中へ帰還する法治国家的義務を体現し考察する機会を意図したものだけではありませんでした。
何よりも体験とその経過で生じた物質(substance)を一般社会に投げかけ、そして、そこへの思考過程を共有し、人間と社会の成熟を求める事こそ、社会とアートが切り離せない関係を持っている証とされるのです。

Bétonsalon-centre d'art et de rechercheでの展示会風景

Bétonsalon-centre d’art et de rechercheでの展示会風景


ベトンサロンで発表した作品は、2016年3月、刑務所の中へとステージを変え、展覧会の準備を始める事になります。まずは身分証明書の提出と、留置所へ搬入する全てのリストを事前に提出する事から始まりました。
展示会当日、刑務所敷地内へアクセスするにあたり、8メートルはある高い壁の関係者専用鋼鉄扉が開門され、緊張と好奇心の中で準備を始めました。刑務所の中へアクセスするには、搬入物とそのリストの照らし合わせ、金銭、通信物の厳重なチェック、数回に渡るセキュリティ刑務官の監視の下、錠前の開かれた鉄柵を通過します。私達に準備された場所は、思い描いていた視聴覚室のような一室ではなく、留置所の体育館でありとても広い特殊な環境にありました。

当日、イカロスプロジェクトに参加した受刑者は外部から3人までの身内を招き入れる事が出来、また、この企画に携わった大学側の生徒も十数名参加する事が許可されていましたので、総勢70人弱が参加する事になっていたのです。全ての設置準備を終え、数人の監視員が見守る中、体育館入り口から続々人が現れるのですが、全員が私服姿だったため誰が受刑者なのか最後まで見分けがつきませんでした。
ワークショップが始まるとすぐに、一人の男性が微笑みながら私に近寄り話しかけました。
「君が版画を作った人だね、前々から思い描いていた人で、会いたかった。」
日本人が一人だったため、数人が敬愛の目と珍しさで声をかけてくれました。また、当日はその街のボランティア達が手作りのケーキ、ジュース、コーヒーの差し入れを持ってきてくれ、交流に相応しい和やかな場を提供してくれました。数時間によるこのワークショップでは様々な外部市民、受刑囚、監視員との交流がありました。

版画の原盤を貼付けた鉄の本とトレースした痕の残るカーボン紙の標本オブジェ

版画の原盤を貼付けた鉄の本と トレースした痕の残るカーボン紙の標本オブジェ


特に私にとって印象深かった事は、今でも解読する事が出来ないアラビア風文字で書かれたフランス語の詩を一人の受刑者らしき人から頂いた事でした。
「これは、日本の奈良の大仏を想い書いた物だ。君に渡す為に持って来た。」
数十枚に重ねられたカラフルな A4サイズの紙の中から、一枚を引き抜き私に手渡してくれました。その受刑者は毎日のように詩を書き残すことで、日々満たされているように私には写りました。

このプロジェクトを通して感じた事の一つに、歴史、人、記憶とは伝え、伝わる事で存在し、アートも技術もコミニュ二ケーションをとる事で存在しえるということ。そして、問い続ける事こそ、存在の意義と責任なのではないでしょうか。

受刑者とのコラボレーションによる銅版画作品

受刑者とのコラボレーションによる銅版画作品

(文: 伊藤 英二郎)
Projet conçu et dirigé par Julie Ramage – Avec la collaboration de Eijiro Ito, graveur, Bruno Héloir-Sanchez, artisan métallier, Joffrey Guérin, graphiste, et des étudiants détenus de la Maison centrale de Poissy
Julie Ramage
Eijiro Ito
Bétonsalon-centre d’art et de recherche

伊藤 英二郎 (Eijiro Ito)
1971年岩手県一関市生まれ 。1995年渡仏。版画における複製品としての役割を消費文化というコンテクストからとらえ、社会と記憶の関わりを考えて活動。
現在は写真から得られたイメージを版へ落とし込み、そこへインクを刷り込む版画製作行程によって生み出されるマチエールに近い作品を制作の主としている。

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「つながるえほん」ワークショップ

もうすぐお茶の水アートピクニックの季節となりました。
今年はA&Sでは講師にグラフィックデザイナー/イラストレーターであり、ご自身で絵本の制作もされている榎元久宰(エノモトヒサタダ)さんをお招きし、「つながるえほん」ワークショップを開催します。
本の街、お茶の水の駅前にある本屋さんの前から一人ひとりが思い描く1ページがつながって、どんな物語となるでしょうか。
絵本が好きな方はもちろん、普段は絵本に触れる機会がない方も、絵を描くことに自信がない方も、紙を切ったり貼ったりしてページを作る内容ですのでぜひご参加下さい!

tsunagaru
フライヤー by Hisatada Enomoto
フライヤー(PDF)のダウンロード

概要

場 所:丸善お茶の水店の前スペース(屋外テント) *JRお茶の水駅聖橋口改札からすぐ アクセス
日 程:2016年10月8日土曜日(雨天開催)
時 間:1回目10:00〜12:00 / 2回目13:30〜15:30
対 象:小学生から大人まで
※ハサミなどの道具を使用しますので、低学年のお子様は保護者の方とご一緒にご参加下さい。
定 員:各回11人(申し込み順。定員に満たない場合は当日も受け付けいたします。)
参加費:無料

内 容:アーティストと一緒にみんなで一冊の絵本づくり
予めページにはお茶の水の街を連想する言葉が書かれています。
参加者はその中のどれか1ページを担当。大きさはA3サイズ。所用時間は1〜2時間。
講師のアドバイスを受けながら、自分のペースで作成、完成した方から終了。
後日、みんなのページを合わせて製本、完成した絵本は、駅前の書店 丸善お茶の水店で展示されます。
※自分の担当したページはポストカードにしてプレゼント!

主  催:お茶の水茗渓通り会
協  力:株式会社昌平不動産総合研究所 / レモン画翠 / 丸善 お茶の水店
企画運営:第13回お茶の水アートピクニック実行委員会 / NPO法人アート&ソサイエティ研究センター

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お申込み/お問合せ先

特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター
email:info@art-society.com
件名に「10/8ワークショップ
本文に①お名前②時間帯(1回目または2回目)を明記の上、Eメールにて上記アドレスへお申し込み下さい。

アーティスト プロフィール

rakugaki
榎元久宰(エノモトヒサタダ)
Hisatada Enomoto
1993年 桑沢デザイン研究所卒
グラフィックデザイナー/イラストレーター
現在鎌倉在住。
絵本の個展・グループ展多数。数々のイラスト・デザインを手掛けている他、葉山芸術祭やギャラリーなど、各所で多数のワークショップも開催している。
2016年4月「らくがきワークブック」(株)リーバン発行
http://enog.jimdo.com
http://facebook.com/enoggg

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大人の寄り道ワークショップ ー 自分のロゴをD.I.Y(Vol.2)ー

6月に開催した自分のオリジナルロゴをつくるワークショップの第2弾を開催します。

ロゴといえば、一般的には組織や事業、店舗などに使われていますが、その既成概念を取り外し、個人やグループのためのオリジナルロゴマークを考案します。
今回のワークショップは「名前」をテーマに自分のオリジナル「ロゴ」をデザインします。自分の名前にじっくり向き合い、そこに隠された意味や形をプロのクリエイターと共に探ってみませんか?
柔軟な発想を持つことがますます重要となる現在、自身の中に眠るクリエイティビティを目覚めさせ、自分を表す「パーソナルなロゴマーク」作りが体験できるワークショップです。

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概要

場 所:amu
東京都渋谷区恵比寿西1-17-2
アクセス>http://www.a-m-u.jp/access/
日 程:2016年9月29日(木)
時 間:19:00〜21:30
講 師:志喜屋徹
定 員:14名
参加費: 2,000円(材料費込み)

内 容:自分のロゴをD.I.Y

ロゴの基本的な考え方や制作のプロセスについて解説後、ワークショップに入ります。名前を使ったオリジナルのロゴを講師の実演を参考ににどんどんスケッチしていきます。講師からのアドバイスをもらいながらロゴの完成へ。完成後は、講師から一人ひとりの作品へコメントが寄せられ、ロゴの展開法や活用法についても触れます。主 催:amu + 特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター

お申込み/お問い合せ先

amu(amuのウェブサイトよりお申込みください。)
東京都渋谷区恵比寿西1-17-2
tel: 03-5725-0145
email:info@art-society.com

アーティスト プロフィール

志喜屋

志喜屋 徹(Akira Shikiya)

兼業造形アーティスト 沖縄県生まれ1991年 沖縄県立芸術大学卒業 1993年 東京藝術大学大学院修士課程修了1996年 東京藝術大学大学院博士課程満期退学
広告会社電通でアート・ディレクターとしての仕事をしながら、六本木や横浜、香港、シンガポール、ロサンゼルスなどで展覧会や表現活動を行う。日常生活の中で価値のない消費物として扱われるモノたちを、ちょっと視点を変え、モノから機能性を消し、「モノが持っている別の能力」を発見することで、アートへと変貌させる。世の中の情報や常識とは関係なく、個人の内面にある「もともと知っている力」を発見出来れば、ありきたりな日常も、生き方も変化すると考えるアーティストであり、生活においての「プチ革命家」である。
http://akirashikiya.com/

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オルタナティブなアートスペースとは?

美術館やギャラリーといった“ホワイトキューブ”を脱し、新しい表現を育む機能を果たしているといえる「オルタナティブ・スペース」。運営主体や空間規模が多様であり、既存の倉庫やビル、家屋、学校などをリノベーションし、利活用しているケースが数多くみられます。それゆえ、ジャンルを超えた表現活動にも、自由で柔軟な対応が可能となり、実験的で先鋭的な表現のインキュベーション機能を担っているといえるでしょう。
今回のトークでは、米国の事例を歴史的に研究している登久希子氏と自身もオルタナティブ・スペースを運営している青木彬氏をお招きし、現代におけるオルタナティブ・スペースの可能性をお話しして頂きます。

160923 AS talk PM ver.

オルタナティブなアートスペースとは?[Case Study:米国と日本]
トーク
登 久希子(国立民族博物館・外来研究員)
青木 彬(インディペンデント・キュレーター)

2016年9月23日(金)19:00-20:30
会 場:アーツチヨダ3331 B105マルチスペース 
定 員:30名(先着順) 
参加費:無料(団体への寄付は任意)

【お申込み方法】
「氏名/所属/同伴者の人数を本文中に明記いただき、タイトルを「9/23トークイベント参加申し込み」として下記メールアドレスにお申し込みください。
Email: info@art-society.com

フライヤーのダウンロードはこちらから

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SEAヒストリー研究会  日本におけるSEAを読み解く

SEAヒストリー
これまでのSEA研究会では、海外のSEAを中心に考察、議論をしてきましたが、今年は「SEAヒストリー研究会~日本におけるSEAを読み解く」を開催いたします。この研究会は、戦後の日本の美術の動向や社会状況の変化から国内におけるSEAの萌芽と展開を掘り起こし、読み解くことを目的とし、各回のプレゼンターがそれぞれ異なる視点からアプローチしていきます。

《開催スケジュール》第8回以降は決定次第、お知らせします。

第1回テーマ 「マッピング」(終了しました)

プレゼンター
工藤安代(アート&ソサイエティ研究センター代表)
日時
2016年2月26日(金)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331 2階 会議室
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

※実施報告をアップしました。
※SEAリサーチラボにレポート「第1回SEAヒストリー研究会に参加して」をアップしました。

第2回テーマ 「マッピング(後半)」(終了しました)

プレゼンター
清水裕子(アート&ソサイエティ研究センター副代表)
日時
2016年3月24日(木)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331 地下1階 B105室(2階 会議室から変更になりました)
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

※SEAリサーチラボにレポート「第2回SEAヒストリー研究会に参加して」をアップしました。

第3回テーマ 「1960年代、世界と日本の社会運動と文化状況」(終了しました)

プレゼンター
秋葉美知子(アート&ソサイエティ研究センター主席研究員)
日時
2016年4月22日(金)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331 1階 ラウンジ(会場が変更になりました)
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

※SEAリサーチラボにレポート「第3回SEAヒストリー研究会に参加して」をアップしました。

第4回テーマ 「1960年代:反芸術」(終了しました)

プレゼンター
工藤安代、嘉藤笑子
日時
2016年5月20日(金)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331内 B104室 
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

※SEAリサーチラボにレポート「第4回SEAヒストリー研究会に参加して」をアップしました。

第5回テーマ 「1970年代:東京ビエンナーレ『人間と物質』」(終了しました)

プレゼンター
嘉藤笑子、工藤安代

日時
2016年6月24日(金)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331内 B104室 
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

第6回テーマ 「コンセプチュアルアートと1970年代の芸術」(終了しました)

プレゼンター
ゲスト:上崎千

日時
2016年7月28日(木)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331内 B105室 
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

第7回テーマ 「80年代以降 現在まで」(終了しました)

プレゼンター
ゲスト:倉林 靖 (美術評論家)

日時
2016年9月8日(木)18:30-20:30
会場
アーツ千代田3331内 B105室 
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda)
定員
10名(先着順)
参加費
500円(資料込み・コーヒー付)

お申し込み・お問い合わせ

メールに、氏名、住所、職業(所属)、申込み動機を記入のうえ、下記宛先までご送信ください。
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NPO法人 アート&ソサイエティ研究センター

ソーシャリー・エンゲイジド・アートのポータルサイトを開設

A&Sでは、ワーキンググループを設置してSEAの分野についてのポータルサイト構築を検討し、このたび新しいウェブサイト「SEA(エスイーエー)リサーチラボ」を開設しました。SEAに関する議論や評論の動向、世界のSEAプロジェクト、参考になるサイトや文献の紹介など、SEAの研究や実践に役立つ情報を提供していきます。またみなさんからの投稿や、SEAに関する情報提供も大歓迎です。是非サイトにアクセスしてみてください!

SEAリサーチラボロゴ

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大人の寄り道ワークショップ— 自分のロゴをD.I.Y —を終えて

企業やブランド、商品やプロジェクトを表すための「ロゴマーク」は私たちの生活風景に溢れています。このワークショップでは、そのようなロゴマークに対する既成概念を取り外し、生活者としての「自分」を表すためのオリジナルなロゴ制作を体験しました。

プロジェクト名:大人の寄り道ワークショップ:自分のロゴをD.I.Y
アーティスト: 志喜屋徹
ワークショップ:2016年6月7日、14日(全二日間)
開催場所:amu

二日間にわたるワークショップの会場は恵比寿の「amu」。立地の良さからは想像できないほど、緑豊かで開放的な空間での開催となりました。
参加者には事前に自分を表す一言を考えてきてもらいました。「性格診断が好きな考える人」「思ったら吉日系アートLOVER」「アナログクリエーター」など、趣味や嗜好を盛り込んだ一言を自己紹介と共に発表してもらうことからワークショップがスタート。
講師は造形アーティストでありながら、広告会社でアート・ディレクターを勤める兼業造形アーティストの志喜屋氏。ロゴについての基本的な考え方、ロゴタイプとシンボルマークについての違い、シンボルマークの事例を個々のエピソードを交えながら分かりやすく紹介してもらいました。イントロダクションの最後には「自分ロゴ」の考え方についての解説があり、参加者は説明に聞き入りながら「自分ロゴ」のイメージを膨らませていました。

講師によるイントロダクション。ロゴの基本的な考え方、ロゴの事例紹介、制作のプロセスなどを解説。

講師によるイントロダクション。ロゴの基本的な考え方、ロゴの事例紹介、制作のプロセスなどを解説。

企業のシンボルマークはその企業が持っている商品やサービスなど様々なイメージを一つのカタチに集約、象徴したもの。個人のロゴの場合も同様で、その人が持っている人格や趣味など多様なイメージを一つのカタチに集約、象徴したものと言えます。まず自分のことを深く理解し、同時に、他人から見られている自分の印象を探り、それらをいかにカタチに落とし込むか。自分を探る上でも鍵となる、質問シートに答えていきました。

4)	質問シートに基づき、ペア同士で互いにインタビューを実施した。

4) 質問シートに基づき、ペア同士で互いにインタビューを実施した。

質問シートに答えることで、自分自身を振り返る時間が持て、パートナーからのアドバイスにより新たな自分の一面を発見するきっかけになりました。「自分ロゴ」を考える手掛かりとして、パートナーとのコミュニケーションや参加者全員によるディスカッションは大変有効に働き、自ずとクリエイティビティーが高まることが証明されました。
インタビューシートを見ながら自問自答。キーワードを基に頭に浮かんだ文字や図を描き出す。

インタビューシートを見ながら自問自答。キーワードを基に頭に浮かんだ文字や図を描き出す。

今回のワークショップのもう一つの売りが、現役のクリエイターである講師との対話でした。参加者が自由に描いたラフスケッチや質問票から、プロのクリエイターだからこそできるアドバイスをもらい、自分の中に眠る感性を目覚めさせ、二日間のワークショップの最後には、参加者全員が唯一無二の「自分ロゴ」を完成させました。

講師が参加者一人ひとりに丁寧にアドバイス。

講師が参加者一人ひとりに丁寧にアドバイス。

各々好きな画材を使って、着色。イメージが膨らむ。

各々好きな画材を使って、着色。イメージが膨らむ。

持ち帰ったデザインをパソコンで加工。まるでプロが作ったような仕上がりに。名前の明日香の漢字「日」「月」「禾」から発想したロゴ。

持ち帰ったデザインをパソコンで加工。まるでプロが作ったような仕上がりに。名前の明日香の漢字「日」「月」「禾」から発想したロゴ。


頭の中に描いたアイディアや発想をいかに人に伝わるカタチに落としこむか。その難しさを実感するとともに、少しだけ視点を変えることで豊かな発想が生まれる面白さを体感することができました。今回のワークショップでの「自分ロゴ」の制作過程や考え方が、違う分野においても自分流を発見するヒントとなれば幸いです。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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大人の寄り道ワークショップーー自分のロゴをD.I.Y(全2日間)

ロゴといえば、一般的には組織や事業、店舗などに使われていますが、その既成概念を取り外し、個人やグループのためのロゴマークを考案するワークショップを開催します。
自分自身を表す「ロゴ」をデザインし、オリジナルで唯一無二な「ロゴ」をつくる。そのプロセスは、自分が大切にしていることや価値観を改めて見つめ直し、確認することへとつながります。
柔軟な発想を持つことがますます重要となる現在、自身の中に眠るクリエイティビティを目覚めさせ、自分を表す「パーソナルなロゴマーク」作りを体験してみませんか。

ロゴの一例(©Akira Shikiya )

ロゴの一例(©Akira Shikiya )

概要

場 所:amu
    東京都渋谷区恵比寿西1-17-2
    アクセス>http://www.a-m-u.jp/access/
日 程:2016年6月7日(火)・14日(火)
時 間:19:00〜21:30
講 師:志喜屋徹
定 員:14名
参加費:6,000円(税込、全2回参加、材料費込み)

内 容:自分のロゴをD.I.Y

《1日目》 ロゴの基本的な考え方や制作のプロセスについて解説後、ワークショップに入ります。ペアワークを通じてイメージを 膨らませ、ロゴの元となる「自分を表す」要素をどんどんスケッチしていきます。
《2日目》 1日目のアイディアスケッチをブラッシュアップし、ロゴを仕上げます。完成後は、講師から一人ひとりの作品へコメントが寄せられ、ロゴの展開法や活用法についても触れます。

持ち物:趣味でやっていることや好きなこと、もの、その写真や雑誌の切り抜きなどを、ワークショップ1日目にご持参ください。会場には鉛筆、サインペン、カラーペンの用意がございますが、その他の着色材料(色鉛筆やクレヨン)をご希望の方はご持参ください。
その他:自分自身を一言で表すようなキャッチコピーなどを考えて来てください。
例)「超文科系山ガール」「コーヒーにこだわるカメラ女子」「映画とジャズをこよなく愛するランナー」

主 催:amu + 特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター

お申込み/お問い合せ先

amu(amuのウェブサイトよりお申込みください。)
東京都渋谷区恵比寿西1-17-2
tel: 03-5725-0145
email:info@art-society.com

アーティスト プロフィール

志喜屋

志喜屋 徹(Akira Shikiya)

兼業造形アーティスト 沖縄県生まれ1991年 沖縄県立芸術大学卒業 1993年 東京藝術大学大学院修士課程修了1996年 東京藝術大学大学院博士課程満期退学
広告会社電通でアート・ディレクターとしての仕事をしながら、六本木や横浜、香港、シンガポール、ロサンゼルスなどで展覧会や表現活動を行う。日常生活の中で価値のない消費物として扱われるモノたちを、ちょっと視点を変え、モノから機能性を消し、「モノが持っている別の能力」を発見することで、アートへと変貌させる。世の中の情報や常識とは関係なく、個人の内面にある「もともと知っている力」を発見出来れば、ありきたりな日常も、生き方も変化すると考えるアーティストであり、生活においての「プチ革命家」である。
http://akirashikiya.com/

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オルタナティブ・スペースが “オルタナティブ(代替)”ではなくなるとき

近年、東京をはじめとする都市部よりも自然豊かな地域へ移住したり、将来的に移住を考えているという若者が増えているという。(1
こうした傾向は、例えば東日本大震災以後人々の関心が資本主義における消費活動だけではなく、より心理的な豊かさを求めて自らの生活を構築し始めているという表れなのかもしれない。
一方で国内の現代アートでは特に2000年代以降、アートプロジェクトも盛んに行われるようになり、近年各地で開催される国際美術展もその潮流のひとつと見ることができる。これらを一概に関係付けることは難しいかもしれないが、美術館やギャラリーから離れてサイトスペシフィックな場でアートを鑑賞する、またはそうした活動自体に関わるという経験は、上述のような都心を離れた地で生活を築こうとする志向とどこか重なるのではないだろうか。
さかのぼれば9.11を皮切りにグローバリズムに対する懐疑の念が高まり、自国に眠る土着的な文化を再構築しようとするナショナリズムが再考されているとも言える。そして現在私たちが置かれている状況を受け止め、画一的な経済的成長ではなく柔軟にその規模を縮小させることで“量”から“質”へシフトしていくことは次代を担う人々にとっての課題なのかもしれない。(2

現在のオルタナティブ・スペース
美術において鑑賞の場が美術館やギャラリーといったいわゆるホワイトキューブを制度批判的に脱した例としては欧米では1960年代のランド・アートなども挙げられる。国内においては美術のみならず社会システムに対するアナーキーな文化動向として1950年代からはじまる野外美術展などの傾向も参照できるだろう。(3
そして自らの手で作品発表の場を立ち上げていく動きもある。1969年からマンハッタンのグリーン街にアートコレクターの支援を受けて始まった「98 GREENE STREET」は、アンディ・ウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、ゴードン・マッタ=クラークなど、様々なアーティストたちが交流する場となっていた。更にマッタ=クラークは1971年にソーホーで数名のアーティストと共に「FOOD」というアーティストランのレストランをオープンする。(4 このように美術館や画廊など既存の制度にはとらわれない多用途なスペースはオルタナティブ・スペースと呼ばれ、実験的な活動を支援する場となった。
そして欧米を出自としながら日本でも様々なオルタナティブ・スペースが誕生した。代表的なものとしては、多くの若手アーティストに発表の機会を提供した「佐賀町エキジビット・スペース」や、美術のみならず演劇や音楽などジャンルレスに活動を行う「BankART1929」などが挙げられるだろう。
更に美術評論家の福住廉はオルタナティブ・スペースの大きな特徴として、そこがアーティストにとってのある種のたまり場になっていることを指摘している。(5

ここでは比較的新しいオルタナティブ・スペースをいくつか取り上げてみたい。
後述することではあるが、これらを広義にオルタナティブ・スペースと呼ぶことはできるものの、その形態や運営者の認識は様々であるということは予め断っておく。

ナオナカムラ

(左)天才ハイスクール!!!!展覧会「GenbutuOverDose」撮影:森田兼次 (右)笹山直規+釣崎清隆展覧会「IMPACT」撮影:酒井透

(左)天才ハイスクール!!!!展覧会「GenbutuOverDose」撮影:森田兼次
(右)笹山直規+釣崎清隆展覧会「IMPACT」撮影:酒井透


1990年生まれの中村奈央がディレクターを務めるナオナカムラは高円寺にある「素人の乱12号店」スペースにおいて、これまで不定期ではあるがキュンチョメや中島晴矢など有望な若手アーティストの個展を開催してきたギャラリーである。整備されたホワイトキューブではなく既存のビルの一室にオープンするナオナカムラだが、空間的な問題を物ともせずに骨太な展示ばかりだ。その多くの作品が半ばアーティストの個人史に依存している印象を受けるが、それは彼ら自身と向き合い続けるディレクター中村の熱意の現れでもあり、作品とじっくり対峙させてくれる時間を生み出すギャラリーの色なのかもしれない。

TAV GARELLY

写真提供:TAV GALLERY

写真提供:TAV GALLERY


TAV GARELLYは、アーティストではなく、キュレーターが所属するギャラリーとして2014年にオープン。展示におけるギャラリーとアーティストの関係性にキュレーターという存在を介入させることで、より多角的なアプローチを考察していく実験的な場となっている。それ故に従来のコマーシャルギャラリーでは難しいような展示形態や、発表の機会を得にくい若手作家などを積極的に巻き込んでいる。こうした試みを可能にしているのは、TAV GALLERYはギャラリー経営会社が所有するビル1階に入居しており、2階から4階がペアレンティングホームとなっていることで、作品販売に依存しない運営システムを築いていることも大きい。

カタ/コンベ

撮影:新井五差路

撮影:新井五差路


中野にあるカタ/コンベは2012から始まった若手アーティストが集うシェアアトリエである。通常は入居メンバーによるアトリエであるが、定期的にゲストアーティストを迎えた展覧会を開催。オートロックマンションの地下室というアクセスの難しさも感じるが、展覧会開催時には多くの人で賑わう。印象派やシュールレアリストにそれぞれ拠点があったように、作家活動を行う上で自分たちの場所が欲しかったことが現在の形式をつくりあげたきっかけだという。展覧会は週末の2日間しか開催されないため、多くの出展者もその場に集まることで濃密なコミュニケーションが生まれている。

あをば荘

写真提供:あをば荘

写真提供:あをば荘


墨田区にあるあをば荘は「墨東まち見世2012」に参加したアーティストユニット佐藤史治+原口寛子によるプロジェクト会場となったことをきっかけに、2階を住居としながら1階では展示やイベントを開催しているスペースだ。美術だけでなく多様なジャンルの運営メンバーが関わることで、演劇公演やクラフト販売など様々な催しを行っている。周辺地域といかに関係を築くかを重視しておりHPなどでの対外的なアピールでばかりではなく、ご近所付き合いの中でいかに創造的な活動ができるかを丁寧に実践している様子が伺える。

awai art center

写真提供:awai art center     (右)加藤巧個展「〜|wave dash」

写真提供:awai art center (右)加藤巧個展「〜|wave dash」


東京に数多くのオルタナティブ・スペースがある一方で地方の動きも見逃せない。今年の4月29日にこけら落としを迎えたawai art centerは古くなった民家をセルフリノベーションし、展示スペースの他にカフェなどを併設したアートセンターだ。松本駅から徒歩5分ほど、天神深志神社の参道に面しながらも人通りは穏やかな場所にある。松本駅周辺には松本市美術館がある他、雑貨店が並ぶ観光スポットなどもあり、季節によっては多くの観光客でも賑わうことだろう。さまざまな物事の間(あわい)に表現を開いていくことをイメージして付けられたという名が示すように、松本という地でいかに表現の場をつくるのかこれからの活動に注目している。

アートが立ち上がる場
一様にオルタナティブ・スペースという呼称で括っても、それぞれはギャラリーを冠していたり、住居を伴っていたりと様々である。ここで紹介したスペースでもオルタナティブ・スペースを自称するところもあれば、そこにアイデンティティを持たない場合もある。呼称についてはそれぞれのスペースのコンセプトによって様々であり、例えば「Art Center Ongoing」は意識的にアートセンターと自称している。(6
本来オルタナティブとは何かに替わってという意味であり、オルタナティブ・スペースとは、美術館や画廊などの制度に参入するのではなく新たな表現の場を指すものだ。仮にその発端が制度への批判であったとしても、それらは今や対立項や代替物としてではなく、若手アーティストの作品発表の場の選択肢であり、時にはアートプロジェクトの会場でもあり、スペースによっては美術館に劣らない入場者数を誇るなど十分な文化資源として機能している。
こうした胎動を敏感に察知するアーティストやキュレーターもいる一方で、多くの美術館学芸員やギャラリスト、大学教員などは展示を見に来ない現状に、Chim↑Pomの卯城竜太は「オルタナティブな動向とメインストリームはコミュニケーションを取って、新しくリアルなものを世界に発信すべき」と述べている。(7
この気運を意識したのか、最近ではオルタナティブという語が積極的に用いられる例も見受けられる。ゲンロンカオス*ラウンジ 新芸術校は教育方針を「まったく新しい、オルタナティブ・アートへ」と掲げ、2016年5月に開催される「3331 Art Fair 2016 ‒Various Collectors Prizes-」ではオルタナティブ・スペース主催者たちによる推薦者枠が設けられている。(8 (9 またLOFT PROJECTによるエンターテイメント・メディアRooftop内で連載の始まった現代美術家の中島晴矢による「オルタナティブ展評」は独自の方法で作品を発表する若手作家の展覧会を取り上げることを目指した展評だ。(10
オルタナティブは泥臭い抵抗の旗手としてではなく、アートが立ち上がる場を自ら作り上げるごく自然な方法のひとつであるのではないだろうか。裏を返せば自らこうした場を創り出さねばいけない状況だったとも考えられる。

オルタナティブ・スペースが死語になる時
過去にシェアハウスが寄宿舎として建築基準法の風当たりを強く受けたように、既存の制度が時代に適応せず生活スタイルなどと乖離していく過程では、規制や価値観に先攻して自発的にその志向を具体化していく必要もあるだろう。労働形態においてもひとつの仕事に従事するのではなく複数の仕事を掛け持ちすることで多角的なスキルを身に付けたり、万が一解雇などによって収入源を失った際でもリスク回避にもなるといった意識の変化が起こっている。
こうした事象は冒頭に挙げた東日本大震災に記憶が新しいように、日本という不安定な地の上では西欧に倣った歴史を積み重ねること自体に大きな障害があることを示唆してはいないだろうか。そんな「悪い場所」の上では全ては仮設ということを含意に考えるべきだろう。(11 これは決してネガティブな態度ではなく、全てが流れさってしまうことがある土壌の上をも軽やかに乗りこなす身体感覚を養うことだ。それは関東大震災直後に生活を再建する足がかりとして機能したバラックを生み出す感覚に近いのかもしれない。
また最近では空き家対策を含めて人口が減少する時代に対しシュリンキング・シティ(縮小する都市)という考えもある。これまでの都市計画にあるようなゾーニングではなく、小さな街の中でもスポンジの孔のように不規則に空いてしまったスペースに個々人の意思によって充実した機能を重ねていくという可能性をオルタナティブ・スペースに照らし合わせてみるならば、ハードを含めた既存の資源を活かして営まれるものが多く、近代的な経済成長に捕われない持続可能性が高い活動であると期待している。(12 これまでの文化施設や大規模なアートプロジェクトでは介入する隙間のなかった場所に分け入るこうした活動は、今後の文化芸術の担い手として重要な萌芽となるだろう。
現在オルタナティブ・スペースと呼ばれるものの多くが住居、アトリエ、カフェ、まちづくり、若手アーティストの発掘・支援などいくつもの要素を駆動させて乗りこなされる軽快なものだ。既にアートという文化領域も近代の限定的な制度だけでは成り立たずに多様化してきた中で、オルタナティブ・スペースがその領域の末端にあったならば、内部への批判的なまなざしを保ちながらもいくつもの要素を組み合わせて更に前進するとき、代替物という語義を超えた可能性を宿すのだろう。
それはオルタナティブ・スペースが死語になる時こそが死線を抜け出る瞬間なのかもしれない。

(文:青木彬)


(1 国土交通白書2016(http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/index.html)
(2 松村嘉浩.なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?.ダイヤモンド社
(3 加冶屋健司.「地域に展開する日本のアートプロジェクト—歴史的背景とグローバルな文脈」
『地域アート 美学 制度 日本』.堀之内出版.p104
(4 Lauren Rosati,Mary Anne Staniszewski.ALTERNATIVE HISTORIES
(5 http://artscape.jp/artword/index.php/オルタナティブ・スペース
(6 アートプロジェクト 芸術と協創する社会.熊倉純子(監修).水曜社.p92
(7 美術手帳.2015年5月号.美術出版
(8 http://school.genron.co.jp/gcls/
(9 http://artfair.3331.jp/2016/about/
(10 http://rooftop.cc/powerpush/cat4/151127190659.php
(11 日本・現代・美術.椹木野衣.新潮社
(12 都市をたたむ.饗庭伸.花伝社

青木彬(Akira Aoki)
1989年生まれ。東京都出身。首都大学東京インダストリアルアートコース卒業。在学中に「ひののんフィクション」「川俣正TokyoInProgress」などのアートプロジェクトの企画・運営に携わる。メインストリーム/オルタナティブを問わず、横断的な表現活動の支援を目指す。これまでの企画に「『未来へ号』で行く清里現代美術館バスツアー!」、「うえむら個展 ここは阿佐ヶ谷」などがある。現在はTAV GALLERYのキュレーターとしても活動中。
http://akiraoki.tumblr.com/

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下野新庁舎アートワーク『ふくべたちの庭』完成記念トークイベント

この度、アート&ソサイエティ研究センターでは、新市庁舎のためのパブリックアートをディレクションいたしました。
21世紀、日本社会におけるパブリックアートのすがたはどんな形なのでしょうか?20世紀までのすがたを「1.0」とすると、これから求められるすがたは「2.0」とたとえることができます。
1.0が作品ありき、完成で終わりのあり方だとすると、2.0では「市民生活」がキーワードです。できあがった後にも市民といかに関わりを持てるか、人びとと“つながる”の視点が大切になります。新市庁舎を訪れる市民のために、どんなアートワークが必要か。本トークでは、建築と広場の設計者と共にアーティストたちからその声を聴き、現代社会のパブリックな空間におけるアートワークのあり方を探ります。

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ひらかれた広場にむけた “ 2.0 ” のアートワークをつくる
~アート・ローカリティ ・エンゲイジ ・人びと ~

会 場:アーツチヨダ3331 B1マルチスペース 
定 員:30名程度 
参加費:無料(懇親会にご参加の場合は1,000円)

トーク参加者
香月卓也(佐藤総合計画、下野新庁舎設計者)
新井敦夫(SORA Synesthetic Design Studio代表)
菅野麻依子(アーティスト)
松本大輔(ライティング・アーティスト)
清水裕子(A&S アート・ディレクション)
モデレーター:工藤安代(A&S 代表理事)

【お申込み方法】
「氏名/人数/連絡先/懇親会の参加希望の有無」を本文中に明記いただき、タイトルを「アートワーク完成記念トーク・イベント参加希望」として下記メールアドレスにお申し込みください。
Email: info@art-society.com

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