Edited by Suzanne Lacy, Washington: Bay Press, 1995.
米国パブリックアートを語る上で、重要な活動を行なってきたスザンヌ・レーシーによる編集本。米国パブリックアートにおけるエポック的な著書と位置づけられる。レーシーは、一般市民、マイノリティー、低所得家庭の青少年などを巻き込んだ大規模なアートイベントを数多く実施し、コミュニティ参加と言う考えをアーティストの立場から、またパブリックアートの評論家という立場から検証し続けている。
「Mapping the Terrain」は、公共空間に置かれた彫刻という古典的なパブリックアートについて語ることから始まり、現代の社会問題や日常的な関心事に深く根ざした様々なメディアにわたるアート活動にいたるまでが語られている。レーシーによるイントロダクションは、米国のパブリックアートの歴史的流れと彼女の定義する新しいジャンルのパブリックアートを理解するうえで示唆的である。 また、共著者の一人であるメリー・ジェーン・ジャコボは、これまでに数多くのパブリックアートの展覧会企画を行い、その斬新で挑戦的な展覧会は、その後のパブリックアートを考える上で大きな影響力を持った。